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(ガストン ルルー Gaston Leroux 宮崎 嶺雄 / 嶋中書店)
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スタンガースン博士の令嬢が、密閉された黄色い部屋で瀕死の状態で発見される。
令嬢は何者に傷を負わされたのか、また犯人はどこから逃げたのか‥‥。
若き新聞記者ルールタビーユと老練な探偵ラルタンの推理合戦が始まる。
やっと読み終わりました‥‥!
貸出期限内に読み終わらなくて、再度借りてどうにか読み終えたものの、読んでいる最中に何度寝そうになったことか‥‥。
だってこの477 ページの中で起こったことと言えば、スタンガースン嬢殺害未遂のみ。
前半のルールタビーユとラルサンがなにやら調べているシーンが長くて、おいてけぼりをくらっているよう。それがちょっと冗長に感じてしまいました。
それらの調査や突拍子なく思える言動はラストへの伏線ではあるので、最後には理由が分かるものの、もうちょっとヒントが欲しかったかな、と。私が気づかなさすぎなのでしょうか。読者には知らされていない事実が最後に出てくるのもどうかと。
しかも伏線を、最後にルールタビーユ自身が一つひとつ解説していくのがちょっと情緒なさすぎのように感じるました。
でも小さな謎や疑問が複雑にからみ合って、出口が見えないでいたかと思った事象が、するするっとほどけていく瞬間は気持ちいい。たとえそれがかなり意外な出口でも。
この作品が約100年前の作品だということで、古典の密室としてミステリの歴史上重要な作品だそう。名作ミステリベスト10に入ったり、不朽の名作と言われているそう。その意味を理解するには、もうちょっとミステリの歴史を学ばなくてはならないな。
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by MameBean
| 2006-08-18 20:51
| 借りた本─ミステリ

(エドガー・アラン・ポー 金原 瑞人 Edgar Allan Poe / 岩波書店)
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モルグ街で起きた母娘残殺事件の真相をオーギュスト・デュパンが追う。
表題作を含めた7編の短編集。
この「モルグ街の殺人」は史上初のミステリと言われている作品で、多くの作家たちに影響を与えたようです。
ネタ自体はあまりにも有名で驚きはなかったけど、初めてのミステリに「密室」「名探偵」という要素が登場していたというのが興味深いですね。そして全く古くさく感じさせない。殺人事件に対する恐怖・怖れが純粋に描かれていて、現実世界で猟奇事件が起きすぎているいまの世の中では逆に新鮮にさえ感じる。
他の作品はホラーなのですが、これらがかなり面白い。
狂気にとりつかれて破滅していく描写が秀逸。「赤死病の仮面」で描かれる、恐怖と華やかさとの対比なんて素晴らしいと思う。
ポー自身、妻の死により精神が不安定になり、過度の飲酒・自殺未遂など波瀾に満ちた生涯だったよう。
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by MameBean
| 2006-06-07 15:25
| 借りた本─ミステリ

(塔 晶夫 / 東京創元社)
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氷沼家に起こる殺人事件。
現場に居合わせた4人が繰り広げる4者4様の推理合戦は混迷を呈していく‥‥
ミステリを読んでいると、名作または奇書として引用されたり例えとして登場するものがあります。それらのほとんどは私が読んだことがないものでした。
いろんな作中で度々名前を目にするミステリは、いったいどんな作品なんだろう?
そんな軽い気持ちで読みはじめたのが「黒死館殺人事件」。
でも文章の読みづらさで断念してしまいました。
その後読みはじめたのがこの本。
「黒死館殺人事件」の後だったので、読みやすい文章に涙が出そうになりました^^;
事件が起こる前から始まる推理。二転三転していく推理合戦。
それを“ノックスの十戒”に基づいて行う、というのがなんとも風変わりでおかしい。
そのへんがアンチ・ミステリなのかな。
読み終わって、結局私には「???」だったんですが、物語の世界にはぐいぐい引き込まれました。
氷沼家の悲劇の始まりとなる洞爺丸事件をはじめ、森永砒素ミルク中毒事件や女子中学生集団水死事件など実際に起こった犯罪が登場していて、当時(昭和30年代)を知らない私にも現実味を感じることができた。近年犯罪が凶悪化しているとか凶悪犯罪が増えているなんて言うけど、いつの時代でも凶悪犯罪があり、それに誰もが怯えていたんだなぁ。
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by MameBean
| 2006-05-12 12:21
| 借りた本─ミステリ
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