図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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私の男

私の男
(桜庭 一樹 / / 文藝春秋)

* * * * * * * *

震災で家族を失った花は、遠い親戚である腐野淳悟に引き取られた。それからずっとふたりは一緒に生きてきた。
第138回 直木三十五賞受賞

この手の話は苦手です。この本を予約したものの、読むことに気が進みませんでした。でも読みはじめると、この親子にはどんな過去があったのか、どんな罪を犯したのかを知りたい気持ちの方が大きくて、夢中になって読んでいました。こういったミステリの要素があったから読めたんだと思います。

物語は花の結婚式の前夜から始まります。そして、視点を婚約者へ、花へ、淳悟へと変えながら、時間も遡りつつ、少しずつふたりの過去が分かっていきます。赤朽葉家を読んだときも思いましたが、桜庭さんは構成が秀逸ですよね。
やはりと言うか、花と淳悟の親子を超えた関係には理解できないものがあります。淳悟は、花のことを「血の人形」と言う。失ったものを血の中に求める姿には共感できなかった。家族って、親ってそんなんじゃないという気持ちが大きかった。でも反発しつつも、この親子には何か惹かれる部分があったのも事実。それが具体的には何なのかは、難しいな‥‥。花と淳悟が持つ、独特の雰囲気だったり匂いだったりするのかな。

物語の終盤、ふたりの犯した罪が分かってからの展開は何だかあっけなかったように感じました。前半を夢中で読んだだけに、フェードアウトするような終わり方に肩すかしをくったような。私がミステリとして読んじゃってたからでしょうか。読みが甘いのかなー。

 死に別れても、だから、それは別れじゃないんだ。
 自分のからだに血が流れている限り、
 人は、家族とはぜったいに別れない。
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by MameBean | 2008-07-11 18:37 |     ─小説・エッセイ

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー
(伊坂 幸太郎 / / 新潮社)

* * * * * * * *

圧倒的な支持率を得ていた総理大臣が暗殺され、その犯人として報道されたのは、自分‥‥。濡れ衣を着せられた青柳雅春は、逃げる‥‥。
第5回 本屋大賞、第21回 山本周五郎賞 受賞

物語の舞台はセキュリティポットなる監視システムが導入された仙台。
いつの間にか首相暗殺の犯人に仕立てられたのは、ごく普通の男・青柳雅春。
巨大な陰謀に巻き込まれ、逃走する男——。ハリウッドあたりで映画になりそうなストーリーですねぇ。でも現実の日本でもありえない話じゃないなーとも思う。現に歌舞伎町では24時間、防犯カメラが監視しているし。

もし自分に首相暗殺の容疑がかけられたとして、自分は犯人じゃないというのを信じてくれる人は一体何人いるんだろう、と思う。うちの家族は青柳雅春の父親のように無条件で信じてくれるのかなー。「俺はあいつのことを誰よりも知っている」なんて泣かせる台詞は出てくるかなー。
いろいろな人に裏切られて信じてもらえない中、たまには信じてくれる人がいるもので、その人たちが言う言葉はどれも「逃げろ」。巨大な何かの前には説明だとかそんなものは通じず、ただただ逃げるしかない。青柳雅春は逃げ切れるのか‥‥。

伊坂氏の本を読むのはまだ3冊目ですが、やっぱり伊坂氏は面白いなーと実感した1冊でした。時間がなくて細切れに読みましたが、もし時間があったなら一晩くらいで一気読みしていたと思います。でも終盤まで息つく間もないほどの展開に比べると、ラストが少しあっさりしていたような気がしなくもない。最後、川の先で待っていた人物があの人ならドラマチッックだと思っていたけど‥‥。
結局、誰が何のために青柳雅春を暗殺犯に仕立て上げたのかは判明せず、なんともやりきれないようなラスト。しかし、20年後の記述である第3部の最後に書いてあった、「今では青柳雅春が犯人だと信じている人は一人もいない」という一文を思い起こすと、それが最善策だったとも思えます。


 逃げろよ。無様な姿を晒してもいいから、
 とにかく逃げて、生きろ。
 人間、生きてなんぼだ。
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by MameBean | 2008-06-25 18:58 | 借りた本─ミステリ

僕僕先生

僕僕先生
(仁木 英之 / / 新潮社)

* * * * * * * *

王弁は学ばず、働かず、娶らず、ひたすら安逸を貪っていた。ある時父の使いで仙人を訪ねた王弁は僕僕と名乗る少女と出あう。
第18回日本ファンタジーノベル大賞 大賞受賞作。


日本ファンタジーノベル大賞の第13回の優秀賞受賞作が『しゃばけ』ですね。そのイメージがあるせいか、舞台が中国と違えど、似た雰囲気が漂っています。ゆるーい表紙のイラストも似た雰囲気。

主人公は現代で言うニート。しゃばけの若旦那も病弱だとはいえ、あまり働いていないからニートとも言えなくはない。
財産のある父のもとで、勉強も仕事もせずに暮らしている王弁。生活には何不自由なく暮らしているけれど、彼には異国を自分の目で肌で感じたいという欲求があった。そんな彼が旅に出ることになる。そして一緒に行く相手は、一見少女のような仙人『僕僕』。仙人と行く旅は、他の仙人や異形のものとの出あいがあったり皇帝との接見があったりと普通ではなく、冒険ファンタジーのようでハラハラしました。
王弁と僕僕は師弟の関係になるけど、僕僕は特別何かを教えるわけでもなく、王弁も何か教えを請うわけでもない、その不思議な距離感がゆるーい雰囲気を醸し出しています。
その距離感に微妙な緊張感を与えているのが、王弁の淡い恋心。女性を意識したことがない王弁が悶々と葛藤するのが妙に現実的で、こっちまでドギマギしてしまいます。でも誰かを愛おしく思う気持ちは純粋で、今までできなかったことでもその人のためならできたり、原動力になるんですね。

そうそう、わたしは普段から本を読むのが遅い方ですが、この本はいつも以上に時間がかかってしまいました。中国の歴史が全然分からないのと、難しい漢字が多いのですぐに読みを忘れてしまうせいでしょう。歴史背景が分かっていなくても、内容上は問題ないのですが、知っていればもっと楽しめたのかなーと残念。
でも混沌に目と耳と鼻と口の穴を穿ったという話は聞き覚えがありました。漢文で習ったんだっけー?あー、もっとちゃんと勉強しておけば‥‥とつくづく。


 この世界自体が混沌を原材料として成り立っているのだから、
 わたし達が混沌の一部であることは当然のことでもあるのだ。
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by MameBean | 2008-02-13 19:12
第8回本格ミステリ大賞の候補作が決まったようです。

【小説部門】
 『インシテミル』米澤穂信
 『首無の如き祟るもの』三津田信三
 『女王国の城』有栖川有栖
 『密室キングダム』柄刀一
 『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

【評論・研究部門】
 『探偵小説の論理学』小森健太朗)
 『法月綸太郎ミステリー塾(日本編/海外編)』法月綸太郎
 『名探偵たちのユートピア』石上三登志

『インシテミル』『女王国の城』と密室ものですね。そして『密室キングダム』『密室殺人ゲーム王手飛車取り』は未読ですが、タイトルに密室とあるのだから密室ものなんでしょう。今年は候補作が密室だらけなんですねー。
既読なのは『インシテミル』と『女王国の城』だけですが、個人的には若い米澤さんにとってもらいたいところです。
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by MameBean | 2008-02-11 23:07 | ちょっとブレイク

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー
(万城目 学 / / 産業編集センター)

* * * * * * * *

葵祭でアルバイトをしていた俺は謎のサークル「京大青竜会」の勧誘を受けた。
そして「京大青竜会」とはホルモーという競技をするサークルであることが分かる‥‥。
第4回ボイルドエッグズ新人賞 受賞作。


前半を読み終えて、ふと表紙に目を落とすと、青い浴衣を着た4人の男女が描かれているのが分かります。青い浴衣は京大青龍会のもののはず。ホルモーは10人でやるみたいなのに4人とは?と不思議に思っていると、すぐに謎は解けました。そして前から2番目の彼の頭も‥‥!いやはや、びっくり。

実はこの本を読んでいるとき、かなりの割合で作者が万城目氏だったか森見氏だったか分からなくなっていました。私の中では、不思議な物語を書くふたりがだぶってしまいます。しかも今作の舞台は京都。そして木屋町の飲み屋から物語が始まります。さらに主人公は非モテな大学生で、意中の彼女には振り向いてもらえない。これでますます混乱してしまいます‥‥。

場所が京都って言うだけで、鬼だの式神だの、東の青竜・南の朱雀・西の白虎・北の玄武と大学の関係が本当っぽく思えるのは地の利ですね。たとえオニが茶巾絞りで鳴き声が『きゅるきゅる』でも、オニへの救援物資がレーズンでも、競技の名前が『ホルモー』でも。未読の方はホルモーってどんなことをするのか疑問でしょうが、これはぜひ読んで知って頂きたい。主人公同様、じらされながら知っていくのがいいと思うので。

日本の歴史を盛り込んだ壮大な歴史ロマン&剣道の試合の青春スポーツものなテイストがぎっしり詰まっていた『鹿男—』に比べると、万城目氏のデビュー作である今作は、勢いがちょっと弱く感じます。展開も先が読めてしまったり。エピローグではちょっとだけ驚きの展開もありましたが。
まぁこっちはデビュー作なので、鹿男で勢いがついてきた、と捉えるべきなのでしょう。

いま鴨川ホルモーの続編である短編集『ホルモー六景』が出てますが、この表紙の女の子って‥‥!

今月の作家の読書道で万城目氏が挙げている本の中に、すごーく懐かしい本を見つけました。

『マガーク探偵団』!
ダガジグダガジグ、ブンチャッチャ♪
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by MameBean | 2008-01-17 19:22 |     ─小説・エッセイ
芥川賞 川上未映子「乳と卵」
直木賞 桜庭一樹「私の男」

桜庭一樹「私の男」はやっぱりなーという感じですね。前回『赤朽葉家』で候補に挙がっているし、いま勢いがありますね。でもこの作品ちょっと読むのに勇気がいります‥‥。むむー。予約するなら早めにしていかなくちゃ。
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by MameBean | 2008-01-16 20:22 | ちょっとブレイク

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説
(桜庭 一樹 / / 東京創元社)

* * * * * * * *

山陰地方の旧家・赤朽葉家に生きた、千里眼奥様の万葉、元レディース総長の毛毬、そして瞳子。3世代・3人の女たちの物語。
第60回日本推理作家協会賞 受賞。

日本史は昭和から学習させた方がいい、と言ったのは確か石原都知事。
歴史って縄文時代から習うから、昭和をやる頃には脱落してしまう。まさに私がそうでした。歴史どころか地理もダメ。でもそういうのをちゃんと勉強していないと、大人になってから会話で恥ずかしい思いもしたり。いまごろヒシヒシと反省しております^^;

この物語は母娘3世代の歴史でもあり、戦後の昭和史のようでもあります。戦後、日本がいかに発展してきたのか、授業で習った時は何も興味を見いだせなかったのに、こうしてその時代に生きた人たちの物語として描かれるとすんなり入ってくる。

千里眼の万葉、元レディース総長の毛毬、そして瞳子。この本は3部構成になっていて、瞳子が万葉と毛毬の時代を語っています。瞳子が祖母と母の過去を調べようと思った理由は、万葉の最期の言葉にあるんだけど、いきなり唯一の赤朽葉家直系の女となってしまったことで自分のルーツをたどってみたくなったのかもしれない。
それぞれの生きた時代はたかだか60年くらいの間なのに、3人の人生は全く異なったものになっています。
1部は、死人が見え、初めての出産で生まれてくる我が子の死ぬ時を見てしまった万葉の物語。2部は元レディース総長でありながら、引退後は少女漫画としてヒットをとばしつつも、兄亡き後は婿をとった毛毬の物語。そして3部‥‥。しかし3部の主人公である瞳子には、語るべき物語がない。
万葉や毛毬が必死で守ろうとしていた、血のつながりや家という意識は瞳子にはなくなってきている。濃い血のつながりっていつのまに薄れていってしまったんだろう。そして瞳子の個性の無さは何なんだろう。万葉、毛毬の物語がすごく面白かっただけに、瞳子の時代になって面白さが失速したように感じる。私は世代的に瞳子と近いから考え方とかが似ているからかもしれないけど、共感はできるけど、意外性がないというか。
でも、彼女の時代はまだまだこれから。いま始まったばかり。

それにしてもいつの時代も女性は哀しくそして強いのだなー。

 ようこそ。ようこそ。
 ビューティフルワールドへ。
 悩み多きこのせかいへ。
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by MameBean | 2007-11-13 08:12 | 借りた本─ミステリ

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女
(森見 登美彦 / / 角川書店)

* * * * * * * *

クラブの後輩に一目惚れしてしまった「私」。
彼女のハートを射止めるべく、常に彼女の視界に入ることを心がけてきた。
第20回山本周五郎賞 受賞。

なるべく彼女の目にとまる作戦、名付けて「ナカメ作戦」。

偽電気ブラン、閨房調査団、韋駄天コタツ、パン食連合ビスコ派、偏屈王、プリンセス・ダルマ‥‥
読んでいない方にとっては何のこっちゃという感じですが、これはうまく説明できないんですね。もう読んでもらうしかない、としか言えません。ちなみに私もビスコ派です。小麦胚芽入り。

外堀から本丸こと意中の後輩へと攻めていこうとする先輩に対して、どこからともなく突然現れて恋路を邪魔するのが、これまた摩訶不思議な人たち。
いつも浴衣を着てて自らを天狗と名のり空中浮遊する樋口さん。宴会に紛れ込んでタダ酒を飲むのを得意とし、酔うと人の顔を舐めまくる羽貫さん。大富豪で屋上に竹林と池のある自家用三階建て電車に乗っている李白翁。
樋口さんと羽貫さんは『四畳半神話大系』に登場するそうですね。そっちから読めばよかったかな。

他にもパンツ番長や事務局長とか象のお尻の人とか、書ききれないくらいのたくさんの人が登場します。脇役が強烈な個性を放っているから、黒髪の乙女はヒロインに決まっているのに、先輩はいつまでたってもヒーローにはなれず路傍の石ころに甘んじるしかない。でも先輩には申し訳ないけど、特にたくさんの人が入り乱れてカオスと化す学園祭の話がいちばんオモチロイ。その次の冬の話で怒濤の出来事も終焉を迎え、しみじみと人恋しくなります。

意中の彼女にも『運命』を感じてもらいたいのに、いつまでたっても『あ!先輩、奇遇ですねえ!』としか言われず、眼中になさそう。天然だな〜、彼女。先輩と黒髪の乙女の交互の視点で書かれるので、乙女の気づいてなさっぷりに少々先輩がかわいそうになります。ほんと、ニアミスなんですよ。春の夜の先斗町で、夏の古本市で、秋の学園祭で。いつも同じ場所ですれ違いつづけ、最後の最後に念願の偶然の出会いができるんだけど、詭弁踊りだの火鍋だので混乱して、台詞が出てこず逃げるようにその場を去るしかない。まぁこんなもんですよね、現実は。

でも、これからお願いごとをする時に唱える呪文は決まりました。
なむなむ!


 偶然のすれ違いになるか、それとも運命の出逢いになるか、
 すべては己にかかっている。
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by MameBean | 2007-10-24 17:29 |     ─小説・エッセイ

しゃばけ

しゃばけ (新潮文庫)
(畠中 恵 / / 新潮社)

* * * * * * * *

江戸の大店の若だんな一太郎は、生まれながらの虚弱体質ですぐ寝込んでしまうため、妖(あやかし)たちがいつも守っている。ある夜、一太郎は人殺しを目撃してしまう。そしてその殺人は江戸中で巻き起こってしまう‥‥。
13回 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

今秋、フジテレビ系でドラマ化されるんですね。あ〜このシリーズ、なんでもっと早くに読まなかったんだろ〜。しゃばけの世界にどっぷり引き込まれました。


ほのぼの(?)とした日常風景のなか巻き起こる、連続殺人事件。その謎を解明しようと乗りかかる若だんなだが、周りの反対がすごい。手代2人と家族たちの過保護っぷりは『大福餅の上に砂糖をてんこ盛りにして、その上から黒蜜をかけたみたいだ』と言われるほど。でも、意外や意外と芯が強く頑固な若だんなはここぞという時は腹をくくる。若だんなは甘やかされて育ったのに、しっかりした人間になったんですね。
事件の解決とともに、どうして若旦那は妖(あやかし)を見れるのか、どうして妖に守られてきたのか‥‥という謎も明らかに。ほんとに皆に望まれて産まれてきたのだとじーんときました。
それにしても妖の見える日常は楽しそうだな〜 私も鳴家や屏風のぞきと一緒にお八つが食べたい‥‥。

しかしこの時代(江戸時代)って格差社会だな〜と思う。
職業が産まれながらに決まり、貧富の差も決まっててしまうんだから。
廻船問屋問屋のひとり息子にうまれた若だんなは家業を継ぐし、お隣の菓子屋の栄吉は菓子職人にならなくてはならない。若だんなは実質的な仕事は手代がやってくれるけど、栄吉はお菓子が作れなくてはならない。なのに栄吉の作るあんは不味いときた‥‥。才能とか好きとかじゃなく、うまれた時から就く職業が決まっているってどんな感じなんだろう。栄吉の妹のお春ちゃんの恋心だって、身分が違いすぎるから前途多難だし。
今回の事件にも、その職業による格差と子を思う親心が絡んでくる。

 しゃばけ
 現世に執着する心。また、俗世間の利益・名誉にとらわれる心。
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by MameBean | 2007-09-13 17:59 |     ─小説・エッセイ