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図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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ビッチマグネット

ビッチマグネット

舞城王太郎 / 新潮社


父親が浮気をして出て行き、母は精神的に不安定で家にこもりっきり。仲のいい弟は反抗期。そして弟の彼女はビッチだ。

第142回 芥川賞ノミネート作

久々の舞城氏。面白かったー。
バイオレンスも死体も魔人も出てこなくて、今までの舞城氏のような尖った感じはなくいちばん普通なんだけど。
それも家族の物語。

香織里自身も言っているけど、両親が不仲で‥なんてそんな珍しいことじゃない。
冷静に家族のこと自分のことを分析する香織里の視点がおもしろい。家族と言えども結局他人なんだと思いながらも、実はまだ消化しきれてない自分。だんだんおかしくなってきている自分を認識していて冷静だ‥‥。

これって私?って思っちゃったのが、本も漫画も結構読む香織里が漫画を描いてみようと思うけど、何も描くことが見つからなくて呆然とするところ。
香織里は両親のことでそれなりに辛い経験をしてきてて、きっと描けるだろうと思い込んでたのに何も描けなくて、自分には物語がないんだと気がつく。
私は香織里みたいな経験はしてないけど、それなりに漫画も本も好きで読むし、絵心もない方じゃない。昔むか〜しは漫画家に憧れた時期もありました。でも描けないんですよねー。読むのと描くのとは全く違ったものなんですよね。
そういう挫折も経験して香織里は成長し、両親のことを違った目で見られるようになったとき、自分の物語を得る。
最後に香織里が書いた小説。他人のお葬式に紛れ込む女の子の話。すごく面白くて、これだけで1冊分の本になるんじゃと思うほど。
# by MameBean | 2010-03-31 19:39 | ─小説・エッセイ

クレーの食卓

クレーの食卓

新藤 信(日本パウル・クレー協会) / 講談社

食いしん坊だった、画家パウル・クレー。
彼が残したメモや日記から、クレーのつくった料理を再現。

レストランをやっていた叔父の影響もあって、食通でもあったというパウル・クレー。
食通と言ってもレストランで大金を出して高価なものを食べるのではなく、むしろお金のない状況でおいしいものを食べるために工夫を凝らしたという人です。絵が売れない時代は奥さんが働き、クレーは主夫をしていたそうですね。
楽しんで料理をしていたと言うクレー。
海外に旅行に行けば、その土地の料理を身につけ、たまにレストランで食事ができると、そのメニューや材料をメモしたほど。ほんと食いしん坊だったんだなというのがうかがえます。
クレーのつくった料理のレシピも再現されていて、後ろから読むとレシピブックとしても使えるようになっています。
# by MameBean | 2010-03-23 18:15 | ─小説・エッセイ

名古屋でラデュレ

名古屋でラデュレ_e0030112_18302069.jpg以前きりりさんに教えてもらった、新幹線の車内販売のオーボンヴュータンのクッキー。
ワゴンを見かけて注文したら、なぜか違うお店のクッキーでした。オーボンヴュータンで修行をしたひとのお店のようで、おいしかったんだけど‥‥。

ちょっとがっかりして名古屋で新幹線おりたら、高島屋にラデュレができてました。
しかもお客さん少なくて、並ばずに買えました。

大好きなピスタチオがなくて残念だったけど、銀座も日本橋もほとんど行くことがないから名古屋にできてラッキー。
# by MameBean | 2010-03-17 18:56 | ちょっとブレイク

グラーグ57〈下〉

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

トム・ロブ スミス / 新潮社

家族を救うべく、レオは極寒の収容所に潜入し、自ら投獄した元司祭を奪還することになった‥‥。

第57強制労働収容所(グラーグ57)からラーザリを救出する今回のミッション。
しかしこれは背後にある大きな計画の一部でしかなかった。

今作も映画化を視野に入れているのか、アクションシーンが満載。銃撃戦、爆破、数々の虐待。映像にしたら派手になりそうです。読んでいるこっちまで痛くなってきそう‥‥。

前作のようなミステリとしての面白さはないけど、舞台はロシアを飛び出し、ハンガリーの動乱など政治的情勢を描いています。
そして前作から描かれるレオが求め続けている「家族」や「愛」。

レオの家族が本物の家族になれる日が来るのか。そしてソ連という国はどうなっていくのか。
3部作の最終作になる次の作品も待ち遠しいです。
# by MameBean | 2010-03-11 18:17 | 借りた本─ミステリ

Xに対する逮捕状

Xに対する逮捕状 (創元推理文庫)

フィリップ・マクドナルド / 東京創元社

ロンドン滞在中の劇作家のギャレットは立ち寄った喫茶店で、隣に座る二人組の密談を耳にする。その会話の内容は何やら犯罪めいていて‥‥。

アメリカ人のギャレットが、ロンドンの喫茶店で犯罪めいた会話を耳にする。こっそり2人の女性の後を追うが、見失ってしまう。警察に伝えるも、まだ犯罪が起きてもいないのに捜査はできないと取り合ってもらえない。
自暴自棄になりかけたギャレットは知人のつてで、名探偵アントニイ・ゲスリンと知り合い、彼の手を借りることにする。

手がかりは片方だけの手袋、そしてその中に入っていた買い物メモ。
たったこれだけのことから少しずつ犯人に、そして事件の全貌に近づいていきます。
しかし犯人も狡猾で、近づいたと思えば痕跡を消し、さらにギャレットに身に危害まで及ぼそうとします。
ところどころ描かれる、アメリカとイギリスの言葉の違い、文化の違いが面白い。ギャレットのそうした戸惑いが、彼がイギリスにおいての異邦人であることを際立たせてますね。知らない地で事件に巻き込まれる戸惑い。ゲスリンやその部下、そしてエイヴィスという心強い仲間を得て、勇気ある行動に繋がって行きます。

事件は防げるのか。犯人Xは誰なのか。
最後の最後まで気が抜けませんでした。


※この本は「本が好き!」経由で献本いただきました。

Xに対する逮捕状
  • フィリップ・マクドナルド/翻訳:真野 明裕
  • 東京創元社
  • 1134円
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

# by MameBean | 2010-03-07 17:50 | 借りた本─ミステリ