図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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カテゴリ:    ─小説・エッセイ( 68 )

荒野

荒野

(桜庭 一樹 / 文藝春秋)

中学に入学したばかりの山野内荒野(こうや)。一緒に暮らすのは恋愛小説家の父と家政婦。荒野にとってあたり前の生活が、一人の女性によって変わっていく。



父娘の物語ということで「私の男」を連想しましたが、全く違う作品でした。恋愛小説。
一人の女の子が大人の女へと変わっていく過程を一年一年丁寧に描いていて、どちらかというと「赤朽葉家」に近いのかも。こういう描き方って桜庭氏らしいなぁと思います。そして舞台となる街を、物語に彩りをそえるように上手く描いているのも桜庭氏らしい。今作の舞台は鎌倉です。鎌倉いきたいな‥‥。

荒野の家族は父ひとり。蜻蛉みたいでいつもキザな父親にはいつも複数の愛人の影がある。男としては最低だと思うけど、荒野のことは決して小説には書かなかったり、ふと荒野の成長を喜ばしいような寂しいような目で見守っているのは、父親としては及第点かな。

思春期特有の自分の体の変化にとまどったり、桃子さん、蓉子さん、編集さん
といった周りの女性たちから「女」を見せつけられたり。何かと複雑な環境に身を置く荒野ですが、全てを抗うことなく受け入れるその姿勢にだんだん大人の雰囲気がでてきます。
恋をして、その思いが通じて‥‥という少年少女向けの甘い話だけじゃなくて、父と愛人のことなど大人のズルさなども描かれていて、ドキッとさせられます。
あぁ、きっとこれはかつて少女だった人に向けた小説なんですね。

 好きってどういうこと?恋ってなぁに?
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by MameBean | 2008-12-15 18:26 |     ─小説・エッセイ

乙女なげやり

乙女なげやり
(三浦 しをん / / 太田出版)

* * * * * * * *

WEBに掲載された「しをんのしおり」をまとめたエッセイ。

しをんさんって腐女子だったんだ。なんと言うか、ちょっとした安心感。
モリミーの「美女と竹林」と同じく妄想入っちゃってますが、妄想がかなり具体的なのが違う点でしょうか。夕方の旅番組に若手男優を‥‥からはじまる妄想とか爆笑しつつもやや共感。
同じ妄想を共有し合える友達が多いのもうらやましい。
そして、書籍なのに実名出していいの〜?と思う部分も。白泉社はそのままで、ナンシー関は伏せ字でいいのか‥‥。ブログをそのまま書籍にしちゃったような感じです。

それにしてもしをんさんって視点が面白いですね。「白い巨塔」をこんな風に読むか?と思えるような視点で読んだり、少女漫画の宣伝コピーの「少女まんがの枠を超えた傑作」という一文にもの申したり。私なら何も考えずに素通りしてしまいそうですが、何気ないところから面白さを引き出すのがやはり才能、作家たる所以なんでしょうね。

しをんさんおススメの漫画もたくさん登場するから、読みたいのが増えちゃいました。
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by MameBean | 2008-11-18 18:43 |     ─小説・エッセイ

美女と竹林

美女と竹林
(森見登美彦 / / 光文社)

* * * * * * * *

森見氏が愛する竹林について語る随筆集。

虚実入り混じり読んでいる者を煙に巻くような文章は、森見作品を読んでいて森見氏のブログも読んでいる身にはお馴染みです。エッセイでも森見ワールド全開です。というか、これはエッセイなのか。はたまた妄想なのか。
エッセイのテーマは竹林です。ただ竹を刈る話。でもほとんど刈っていないという‥‥。
抱腹絶倒のおかしさはなけど、ムフフと笑ってしまったり不意に吹き出しそうになったり。
ニヤニヤして読んでそうなので、電車内で読むときはちょっと注意が必要かも。
しかし、免疫もなくいきなりこのエッセイを読むとちょっと面食らってしまうかもしれませんね。

そう言えば、森見氏のブログも本にあわせて竹に変わりましたね。ブログを読んで本の表紙をこすってみたくなりましたが、図書館の本のためビニルでカバーされててできず‥‥。
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by MameBean | 2008-11-13 18:38 |     ─小説・エッセイ

あぽやん

あぽやん
(新野 剛志 / / 文藝春秋)

* * * * * * * *

あぽやん
APO=空港を表す業界用語。あぽやんとは旅行会社に勤め、空港に勤務する人をさす。

 あぽやんはあぽやんさ。
 あぽやんは世界を救えない。あぽやんは空を飛べない。
 あぽやんは金の匂いがしない。あぽやんは怒る。あぽやんは笑う。
 あぽやんは走る。
 あぽやんは、空港にいる。

「閑職」である空港業務についた遠藤。座席が取れなかったり、クレームが来たり、お客がパスポートを忘れたり、空港で起こる出来事はトラブルだらけ。はたして今日も無事お客様を送り出すことはできるのか。
遠藤のあぽやんとしての成長を描きつつも、「ねずみ」事件や「NO-REC(予約記録無し)」事件など、ミステリ仕立ての話もあったりして、誰でも楽しめるエンタテイメントとなっています。
団塊の世代の住田所長、バブル期入社の今泉、就職氷河期に入社した遠藤、自分探し病にかかっている古賀。
それぞれの世代によって仕事への取り組み方は違うけど、みんな根底に「お客様を笑顔で送り出す」というのがあって、真摯に仕事に打ち込んでいる姿にこちらまで背筋が伸びます。たとえ自分のキャリアにならないような仕事だとしても。こういうプロ意識を垣間みるれると、自分もがんばろうと思いますね。

冒頭に「あぽやんは世界を救えない」なんて書かれているけど、はたして遠藤のあぽやんに対する想いはどう変わるのか。ラストの1行がこの物語を全て表していると思う。

 あぽやんはお節介、あぽやんはお調子者、あぽやんは気分屋。
 あぽやんはまっすぐ、あぽやんは温かい、あぽやんは向こう見ず。 
 僕はあぽやんに、なりたい。
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by MameBean | 2008-10-22 03:29 |     ─小説・エッセイ

武士道シックスティーン

武士道シックスティーン
(誉田 哲也 / / 文藝春秋)

* * * * * * * *

剣道のエリートである香織を市民剣道大会で破った相手は、今まで戦ったことがない不思議な動きをしていた。
負けた悔しさを忘れられない香織は対戦相手と同じ高校に進む‥‥。

剣道一家の家庭で育ち、幼いころから剣道をやっている香織。父親の家出(?)がきっかけで、中学に入って日舞から剣道に転向した早苗。
だいぶ異なった環境で育ったふたりの剣道に対する考え方は対極だ。香織は剣道=斬ることと考え、兵法だの軍門に下るなどまるでサムライのよう。早苗は勝ち負けにはこだわらない、究極ののんびり屋。
そんなふたりが同じ高校の剣道部に入部し、それぞれが剣道と向き合い、「自分の剣道」を見つけていく。
物語がふたりの交互の視点で描かれるというのはそんなに意外ではないけど、本にスピン(しおり)が赤・白2本ついていて、それが対称的なふたりを表現しているのが面白い。もちろん赤=香織、白=早苗ですが。
好敵手という言葉がピッタリになったふたりが迎える最後の展開は、ちょっと突然だったけど、だから続編「武士道セブンティーン」があるのだな、と続きが読みたくなりました。
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by MameBean | 2008-10-20 18:10 |     ─小説・エッセイ

鼓笛隊の襲来

鼓笛隊の襲来
(三崎亜記 / / 光文社)

* * * * * * * *

戦後最大規模の鼓笛隊がやって来る夜、ほとんどの家が避難する中、防音室もない家で義母と過ごすことにした一家。(表題作)
表題作ほか9編の短編集。

鼓笛隊が襲来する世界、「覆面を被る権利」が施行された世界、本物の象の滑り台のある街、背中にボタンのある女、「欠陥」のある家、隣にあるのに離れている街 ‥‥
登場するのはごくごく普通な人たちで、ごくごく普通な日常を送っている。しかしそのよくある日常に少し不思議な設定がプラスされていて、SFというほどあり得ない話じゃなく、ファンタジーというほど夢物語じゃなく、ふわふわした印象。で、てっきり作者は女性なのかと思ったら男性でした。
ただ、どの作品も「日常+α」という構図なので、それぞれの話が印象に残りにくい感じがします。覆面はインパクトがあって記憶に残りましたが。
突然電車が乗客・乗員ごと消えてしまった「同じ夜空を見上げて」は設定こそあり得ないものの、愛する人や家族を突然失うという状況は起こり得ることで、恋人を失った主人公が、恋人は急にいなくなったからまた帰ってくるのではと思い忘れられないのが痛い。
しかし切ないような気もするけど、人はいつか再生するのですね。
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by MameBean | 2008-09-24 19:18 |     ─小説・エッセイ

怖い絵

怖い絵
(中野京子 / / 朝日出版社)

* * * * * * * *

昔は美術館に行ったら作品を観なくちゃ!という思いが強くて、パネルに書かれた解説を読むことは少なかったです。でもある時、その画家の一生や生きた時代背景を知ることで絵の印象ががらっと変わることを知ってからは、解説も読むようになりました。この前のコロー展では絵を観る時間が少ないこともあって、あらかじめHPで予習までしましたし。

その絵の描かれた時代や作者の背景を知ると、絵の印象がまったく変わってしまう。そのことに改めて気づかされる本。
知っている絵と知らない絵が半々くらいでした。
メデュース号やいかさま師はルーブルで実物を観てきました。その大きさもさることながら実物はさらにすごい迫力。特にメデュース号。この絵を描くために作者のジェリコーは本物の生首を入手して、変化していく過程をスケッチした、と書いてあって背筋が寒くなりました。
しかしこの本を読んで、そんなに怖いとは思いませんでした。

ここに書いてあるのは中世の三大疫病とか、絵画に用いられたモチーフが何を意味しているか、とか私が知らなかったことばかり。置時計や砂時計が死を表しているなんて初めて知りました。
中世の時代、絵画に描かれたモチーフなどからその絵のテーマを読み解くことは上流階級の遊びだったそうです。聖書やギリシャ神話とかを知らないと西洋絵画を理解するのは難しいけど、逆にそういった知識があればすごく面白くなるんだなと気づかせてくれました。

ちょっと著者の深読みかなーと思う部分やこじつけっぽく感じる部分はあるものの、絵画について分かりやすく学べる本だと思います。
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by MameBean | 2008-09-03 18:25 |     ─小説・エッセイ

有頂天家族

有頂天家族
(森見 登美彦 / / 幻冬舎)

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下鴨神社糺ノ森に平安時代から続く下鴨一族。父亡き後、力をあわせて宿敵夷川家と戦うその一族の正体は‥‥狸。

海よりも深い愛で子供達を愛する母親。父の跡を継ぐべく根回しに忙しい長兄。井戸の底に引きこもった次兄。従兄にいじめられっぱなしの頼りない弟。樋口一葉を四字熟語だと思っている金閣・銀閣兄弟。決して姿を見せない口の悪い元許嫁。‥‥などなど気になるキャラクタがたくさん登場し、ドタバタホームドラマといった感じなんだけど、ちょっと違うのはそれらがみんなもふもふの毛玉たちだということ。さらに天狗や人間が入り乱れてモリミーらしいカオスな雰囲気になっています。三つ巴の乱闘シーンにはスカッとしました。もっと赤玉ポートワインを!
どれもこれも愛おしいキャラクタなのですが、お尻をかじられないように鉄のパンツを履く金閣・銀閣、綿埃のような長老、人間だとスズキ君が好きです。落ちぶれた天狗・赤玉先生や半天狗の弁天、狸が大好きな淀川教授など他にも主要なキャラクタがいるのですが、私はもふもふしてる方が好きだなー(スズキ君は例外)。

夷川家との日常的な阿呆な攻防とかも面白いのですが、最終章の父親の急逝の理由が分かるあたりで加速する展開が面白い。トップの座をめぐる権謀術数が渦巻いているのにどろどろした感じがしないのは‥‥狸だから。そして父の最後の言葉にはじーんときました。どこまで本気で言ったのかは分かりませんが、なかなか奥が深い言葉だなぁと思います。果たして自分が死ぬ時にこんな言葉が言えるものなのか。
基本的に阿呆な話なのですが、ふいにじーんとくる台詞があったりするんですよね。特に問答無用で子どもたちは立派な狸だと信じる母の愛。

この狸シリーズは三部作になるそうで、第二部の連載もスタートしたようですね。続きが楽しみ。
それにしても京都熱が再燃しましたー。下鴨神社に行ったら狸の姿を探してしまいそうだ。

 「これも阿呆の血のしからしむるところだ」
 私は言った。
 「面白きことは良きことなり!」
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by MameBean | 2008-08-20 18:44 |     ─小説・エッセイ
先端で、さすわさされるわそらええわ
(川上未映子 / / 青土社)

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ミュージシャンでもある著者のデビュー作を含む7編。

表題作を含め各話のタイトル名からして、強烈な個性を放っています。
そして、文法にとらわれず、津波のように押し寄せてくるその文章は‥‥カオスです。なぜかのだめに出てくる、とぐろシチューが頭に浮かびました。千秋先輩から見たのだめってこんな感じなのかなー、とふと思ったり。
この流れにハマれれば、とても面白いと思います。7編あるのでどれかはダメでもどれかにはハマるかも。私は「少女はおしっこの不安を爆破、心はあせるわ」(すごいタイトルだ‥‥)と、「ちょっきん・なー」にちょっとハマりました。こどもの視点が面白かったなー。手首をぎゅっと握ると卵がぽっこりふくらむの、やったやった。懐かしい。
表題作を読んで全部読めるか、かなり不安になりましたが、他は比較的読みやすかったです。
Wikipedia見て気づきましたが、これって詩集だったんですね。どうりでストーリーがないはず。川上氏初読みのため、こういう文章書く人かと思いましたよ。んん、最初っから難易度の高いものを選んでしまいましたー。
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by MameBean | 2008-07-31 19:02 |     ─小説・エッセイ

anmitsu book

anmitsu book
(anmitsu編集部 / / フリースタイル)

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女子高生がつくった女子高生のためのフリーペーパー『anmitsu』。その創刊号から10号までを再構成し、書籍化。

『anmitsu』は女子高生が企画・編集してつくっているとはいえ、印刷などにかかる経費を広告収入だけでまかなうという本格的なものです。創刊がR25とほぼ同時期なので、創刊時はまだフリーマガジンが今ほど一般的じゃなかったと思います。そんな中で広告を取ってくるのは大変だっただろうなー。
内容はというと、カスタマイズ上履きとかお守りとか、女子校生らしい企画。いろんな国のお昼ご飯をレポートした『世界のお弁当』も面白かったです。ともすると内容が内輪ネタになっちゃいそうですが、海外の同年代の声も載せているのに好感が持てます。
レイアウトデザインも女子高生が?とびっくりしましたが、デザインだけはプロに頼んでいるそう。より多くの人に読んでもらいたいから、というその心意気もいいなーと思います。この本はA6判で、もともとのフリーペーパーがA3八つ折りなので(予算がないときは手折りしているそう‥‥)同じ大きさのようです。フリーペーパーと同じ雰囲気が味わえるわけですね。鞄にしのばせて、空いた時間に読むにはぴったりなサイズです。
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by MameBean | 2008-07-29 17:55 |     ─小説・エッセイ