図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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カテゴリ:    ─小説・エッセイ( 68 )

ノーフォールト(下)

ノーフォールト(下)

岡井 崇 / 早川書房


患者の遺族から訴訟を起こされた奈智。裁判で弁護士から執拗な追及を受けた奈智は、心に深い傷を負ってしまう‥‥。

奈智を精神的にも追い込んだ裁判。
裁判によって奈智がぼろぼろになり、患者さんと前のようないい関係が築けなくなっていく姿が辛かったです。
日本の医療が訴訟化し、それが医師を苦しめ、医師と患者との関係が歪んだものに‥‥という悪循環。日本の医療もアメリカのようになっていってしまうのでしょうか。

諸外国と比較し、上巻よりもさらに日本の産科の問題を掘り下げています。
医者が訴訟を意識した医療をする。そんな医療に日本も向かいつつあるんですね。
最近一般的になってきているインフォームドコンセントも、判断を患者に任せることで訴訟になった時の逃げ道を作る、という側面もあるそう。

最後に意外な人からの手紙が届き、日本の医療の問題点が熱い想いで語られます。その手紙のなかで出てくるのが「ノーフォールト」という無過失補償制度。
これは諸外国で実施されている制度で、過失の有無を争うのではなく、まず患者を補償するというもの。病院も患者も遺族も救われる制度。著者が日本でも実施されるのを望んでいます。そんな制度ができることを私も切に望みます。
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by MameBean | 2010-02-05 18:11 |     ─小説・エッセイ

神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

三浦 しをん / 徳間書店

高校を卒業し、身の振り方の決まらない平野勇気が強引に行かされた場所は三重県の山奥にある神去村。ここで俺はいったい何をやらされるのか‥‥。

都会育ちの勇気がいきなり放り込まれたのは林業の道。右も左も分からぬ若者が林業という斜陽産業に携わる。しかも高齢化のすすんだ若者がいない村で。

私は田舎育ちなんで、若者がいないとかコンビニがないとか携帯が使えないとか、そんなのわりとどうってことないんですが(笑)、真逆の環境で育った人にはつらいんでしょうねー。
「なあなあ」とは神去の方言で、「ゆっくり行こう」とか 「まあ落ち着け」と言った意味の言葉。これが神去村の人たちののんびりとして、でもどこか飄々とした気質をよくあらわしています。

最近のエコブーム(?)で、植林はクローズアップされてきましたが、木を、森を育てることがこんなにも大変だとは。枝を落とし、余分な木を伐採するのは人の手を加えないといけませんからね。

神隠しや一風変わったお祭りのことなどを通して、山の持つ不思議な力が描かれます。こういう不思議な力が信じられるのも山の魅力。村の人たちの自然に対する諦めというか抗わず受け入れる姿勢は、現代にも脈々と受け継がれているんですね。
勇気もこれを受け継いで、森を崇め、林業を続けていくのか。もっと読みたいなー。恋の行方も気になるし。
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by MameBean | 2010-01-28 18:25 |     ─小説・エッセイ

面白南極料理人

面白南極料理人 (新潮文庫)

西村 淳 / 新潮社


南極のドームふじ基地に料理人として参加した著者による、南極越冬隊の日常を綴った爆笑エッセイ。

映画「南極料理人」の原作である本作。
映画はドーム基地にいるところから物語が始まっていますが、南極に行くまでも大変なんですね。「しらせ」でオーストラリアを経由して南極まで行き、そこから何日もかけて氷上を大移動。

著者は料理人として参加しているので、食品に関することが面白かったです。
南極という超低温下でのことなので日常の生活ではほとんど役に立ちませんが、LL牛乳が分離するとか、冷凍の卵なんてものがあるとか、知らなかったことばかり。

西村さんのキャラクタは、映画とは違ってチョー楽天家な宴会好き面白人でした。書かれているのはほぼ愚痴のような内容ですが、なんとか料理で皆を楽しませようというノリが、こういう閉ざされた空間では重要なんじゃないかな。
しかしドクターの氷上ランニングとか自転車こぎがまさか実話だとは(笑)北海道の病院に会いにいってみたくなりましたよ。

皆さんの本業でもある観測隊のお仕事など、こちらのホームページを見ながら読むと分かりやすいかも。今は逐一、南極からの情報が入るんですねー。しかしGoogleの地図が真っ白‥‥。

↓昭和基地に来たペンギン。かーわーいー。
でもドームふじにはペンギンは来ないんですよねー。
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by MameBean | 2010-01-15 18:20 |     ─小説・エッセイ

四畳半神話大系

四畳半神話大系 (角川文庫)

森見 登美彦 / 角川書店


大学三回生の主人公は「薔薇色のキャンパスライフ」を夢見て入学したのに、ただ無意味な学生生活を送っている。

第一話を読み終わって、二話を読みはじめると「あれ?」と思う。同じ登場人物、同じ出来事。でも所属するサークルが違っていて、出来事がちょっとづつ異なっている。つまり1回生のときに貰った4枚のサークル勧誘のビラが発端になっている。そのへんが第三話あたりから飲み込めてきました。

人生においてあの時、あの道を選んでいなければ‥‥と思うことってあるもの。
でも、いきつく結果は‥‥、というのが面白い。結局出会うべき人には出あってしまうんですね。哀しいかな、それが「他人の不幸をおかずに飯を三杯食える」小津だとは‥‥。

ただ、繰り返し同じ出来事が起こり、同じ言い回しが出てくるとどうしても飽きてきてしまって、若干飛ばして読んだ部分も‥‥。
で、迎える最終話。それまでのパラレルな話が交差していき、ちょっと強引だけどまとまっていきます。


 小津は例の妖怪めいた笑みを浮かべて、へらへらと笑った。
 「僕なりの愛ですわい」
 「そんな汚いもん、いらんわい」
 私は答えた。
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by MameBean | 2009-11-25 19:54 |     ─小説・エッセイ

結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日

益田 ミリ / 幻冬舎


夫なし男なし35歳。嫌いなことば「自分探し」。貯金、200万円。
大逆転はなくても「あした」がある! 異色4コマ漫画。

30代・独身・彼氏なしのすーちゃん。
アラフォー・独身・おばあさんの介護中のさわ子さん。
30代・既婚・もうすぐ出産のまいちゃん。

カフェの店長として働くすーちゃんの日常が淡々と描かれています。後輩との接し方に気をつかったり、老後のことを心配したり、親に強がったことを言ってしまったり。何も特別なことが起きないからこそ、それがかえってリアルに感じます。実際、漫画やドラマみたいな出来事って起きないし(私だけ?)。
未婚・既婚限らず、漠然とした不安感って誰にでもあるもので、だから女性ならなんとなーく共感できる部分が多いと思います。
自分を変えたい、変わりたいと思いながらも、どうして変わらなくちゃいけないの?と自問する。結局すーちゃんは何も変わらなくて、そのことに安心している自分がいます。

私が好きなエピソードは、さわ子さんのお宅にお邪魔したすーちゃんが、さわ子さんの寝たきりのおばあさんにも挨拶させて下さいっていう場面。
ふいに涙がこぼれました。そんなあたり前のことをちゃんとできる人ってなかなかいないものですよね。
あと、さわ子さんのお母さんの年齢を重ねて苦労をしてきたからこそのたくましさ、前向きさにちょっと元気をもらえました。
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by MameBean | 2009-10-28 18:35 |     ─小説・エッセイ

今日の早川さん

今日の早川さん

coco / 早川書房


本好きの女の子たちの日常を描いた大人気のブログの書籍化。

SF者の早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん。本好きの女の子たちの日常の悲喜こもごもを4コマ漫画のような体裁で描いています。
早川さん、岩波さん、富士見さんの名前はすぐピンと来るけど、帆掛さんとか国生さんはかなりひねってますねー。私には分からなかった。
私はどのジャンルでもないし、マニアでもない。
それでもこの本マニアあるあるネタのいくつか当てはまっていたり。ブログで年末に自分ベスト10を挙げたり、電車の中で本を読む時カバーをかけてタイトルを隠したり、純文学に対してちょっと劣等感があったり。わわわ‥‥。イタイぞ。
しかし何でミステリはないんでしょうね。メジャーだからでしょうか。

ちなみに早川書房から出ています。
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by MameBean | 2009-10-09 18:16 |     ─小説・エッセイ

軍艦島 全景

軍艦島 全景

オープロジェクト / 三才ブックス


1974 年の閉山後、廃墟と化した炭鉱都市・軍艦島。島の現在の写真と過去の写真を織り交ぜて紹介。

長崎県にある端島。通称・軍艦島はかつて炭鉱としてにぎわった島。
閉山され住民も島を去ってからの長い間、島には上陸することができませんでしたが、さいきん一部上陸・見学ができるようになって話題になりました。私のいつか行ってみたい場所のひとつです。

島には学校、病院、映画館、パチンコ屋など、お墓以外はなんでもあったとか。
国内初の鉄筋コンクリートのマンションは同潤会アパートかと思ってましたが、軍艦島にあるものが初のようです。
狭い土地に東京都の9倍の人口を抱え、上に上にと伸びていく建物。庭がないが故に屋上につくられた緑地。 “エコ”なんて言葉のない時代に屋上緑化が行われていたことに驚きました。鉄筋コンクリートのマンションといい、時代の最先端をいっていたんですね。
しかし現在残されている姿は昭和のまま時が止まっています。さびた鉄、朽ちたコンクリート。そこには何とも言えない美しさがあります。私は廃墟マニアではないけど、廃墟にひかれる理由が分かりました。

現在の様子と人々が住んでいた当時の写真。その写真点数も解説の文章もボリュームたっぷりなので、パラパラと眺める写真集というより読み物ですね。
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by MameBean | 2009-10-07 17:39 |     ─小説・エッセイ

恋文の技術

恋文の技術

森見 登美彦 / ポプラ社


京都を離れ能登で研究をせねばならなくなった守田一郎が、知り合いや友人にあてた手紙。

守田一郎が文通武者修行と称して、友人や先輩、教え子の少年などに出した手紙だけで構成されてます。相手からの返事は載っていませんが、どんなことが書かれていてどんな出来事があったのかが伝わってきます。そのうち文通相手がリンクしてきて、これがアノ人でこれが‥‥というのが分かってくるのが面白い。まさかのつながりとかあったりもして。同じ出来事でも主人公が変われば全く違う物語になったりするのですね。
この守田一郎は、いかにも森見氏の本に出てきそうなダメダメ人間。ここまで○っ○い、お○ぱ○書くというのもいかがなものかと思いますよー。そして作家・森見登美彦も登場し、ホントか嘘か分からないけど「夜は短し」誕生秘話が描かれています。あー、私もすき焼き食べたい。そして高等遊民になりたい。

守田一郎が恋文の技術を習得できたかどうかは、その後の手紙がないので分かりませんが、最後の伊吹夏子さんへの手紙を読むと、文通武者修行も無駄じゃなかったなぁと思わせてくれます。
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by MameBean | 2009-09-09 18:17 |     ─小説・エッセイ

センネン画報

センネン画報

今日マチ子 / 太田出版


WEBでほぼ毎日掲載されている叙情マンガ「センネン画報」を書籍化。

これは漫画といっていいのかな。登場するのは主に高校生の男の子と女の子。
台詞はないけど、ストーリーのようなものを感じる。音のない映画を観ているような不思議な感覚。
心にする〜っと入ってきたり、はっとさせられるものがあったりするんですよね。

具体的に何が好きかと聞かれると困るのですが、挙げるとなると「水」でしょうか。水が描かれているものが好きです。今日マチ子さんの描くブルーが好きなんですよね。
さらさらっと描いて彩色もたぶんコピックとかで、膜がはったような淡い色なんだけど色彩が豊か。
芸大出身とあって、さらっと描かれてても無駄な線がなくデッサンの狂いがないのはさすが。そういえばピカソの一見何だこりゃ?な絵も、幼少期からの緻密なデッサンに基づいているんですよね。
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by MameBean | 2009-07-13 18:14 |     ─小説・エッセイ

ジーヴズの事件簿

ジーヴズの事件簿(P・G・ウッドハウス選集1)

P.G.ウッドハウス / 文藝春秋

ダメ男の若旦那と、優秀なる執事ジーヴスの繰り広げるユーモア小説、短編集。



検索エンジンのAsk.com(アスクドットコム)はもともとAsk Jeevesという名称で、このJeevesこそがこの本に描かれるジーヴスなのだそう。「わからないことがあったらジーヴスに聞いてみよう」というくらい、ジーヴスは何でも知っている代名詞なのだとか。

ひとはいいんだけどかなり抜けたところのある主人・バーティ。彼に仕えるのが事態の先の先まで読んで手回ししておいてくれる有能な男・ジーヴス。ジーヴスの従僕という肩書きが慣れない言葉なのですが、ようは執事のことですね。
ジーヴスは従順なだけではなく、時には主人であるバーティが注文したシャツでも気に入らなければ勝手に送り返してしまったり、気に入らない色の靴下は内緒で人にあげてしまったりという頑固さも持ち合わせています。誇り高く、かつウィットが効いているあたり、イギリス人のお国柄という感じがします。

シャツや靴下の色の件しかり、ジーヴスの機嫌を損ねてしまって良いことがあったためしがないから、バーティはいつもジーヴスの顔色をうかがうという、どちらが主人なんだか分からない状態。主人としてのメンツを保とうと試みても、結局ジーヴスに頼ることとなるんですね。

毎度毎度バーティにふりかかる困難。バーティが恐れをなすアガサ伯母さん、思い込みの激しいビンゴというやっかいな人たちが事態をさらに悪化させるけど、最後にはジーヴスの機転によって事態は収拾。これがお決まりのパターンで結末は分かっているけど、水戸黄門のような時代劇のようで読んでいて安心感があります。だから世界的に愛されているんでしょうね。
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by MameBean | 2009-01-09 18:00 |     ─小説・エッセイ