図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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カテゴリ:    ─小説・エッセイ( 68 )

NECK

NECK (講談社文庫)

舞城 王太郎 / 講談社


「首」をめぐる4つの冒険

新刊ラッシュですねー、舞城氏。今年は獣の樹、イキルキス、それと乙一氏らとのコラボ企画・魔界探偵冥王星Oもシリーズで発表。
この魔界探偵冥王星Oの著者とされる作家・越前魔太郎は本作に登場します。
幼なじみのせいで閉所恐怖症、ふとんフォビアというかわいそうな体質になったホラー作家。
越前魔太郎の登場する「the third」が映画NECKの原案になったもので、本作に納められた4編の中ではこれと一番最初の「a story」が面白かったです。
映画のキャッチコピーが胸きゅんホラーというだけあって、ラブコメ風。
ネックマシーンなるお化けを生み出す装置を開発した大学院生の女の子と、彼女のことが好きな男の子の話。舞城氏の作品が初めてでも、これなら読みやすいんじゃないかなー。

「a story」以外はお芝居のシナリオとして書かれています。
「the original」は舞台版のNECKの原作となっているもの。
この体裁は慣れないと読むのに疲れちゃいますね。
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by MameBean | 2010-10-28 18:51 |     ─小説・エッセイ

ダーリンは外国人 with BABY

小栗左多里&トニー・ラズロ / メディアファクトリー


イラストエッセイ『ダーリンは外国人』で、日本中を爆笑の渦に巻き込んださおり&トニーに、ベイビーが誕生。

映画化もされた『ダーリンは外国人』のさおり&トニー夫妻に子供ができました。

生まれたての赤ちゃんはポテトスープのニオイがするらしいです。そのニオイをかいだ後の「あなたは炭水化物なの?」という台詞がおかしかったです。出産後、一時的に精神状況がおかしくなって出てきた台詞なんですが(笑)

別ブログにも書いてますが、現在の私にはすっごく共感できたり、ためになる部分がありました。
さおり夫婦も初めての出産・子育てということがあって、おろおろしたり情報を集めたりして。
時には意見が衝突する時もあるけど、お互いちょっとずつ歩み寄って。

個人的にはもうちょっと出産までの部分にページを割いてほしかったな〜とは思いますが、出産がロケット発射だという感覚が分かりやすかったです。
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by MameBean | 2010-09-24 18:52 |     ─小説・エッセイ

恋する空港

恋する空港―あぽやん〈2〉

新野 剛志 / 文藝春秋

成田空港所勤務2年目を迎えた遠藤は新人教育を担当することになる。
あぽやん 第2弾。

さいきん飛行機ってチケットレスになっていてバーコードをかざすだけでいいから、カウンターにお世話になることがめっきりなくなりました。
こういう流れや世界的な不況が遠藤の働く職場にも影響を及ぼしていて、遠藤の勤める空港所に閉鎖の噂が出始めます。

そんな状況に加え、今回もまた空港ではいろんな事件がおこります。
テロリストと同姓同名の男。
その男が持っていたはずの荷物。
子連れの妊婦さんの子どもが行方不明に。
韓流ファンが乗るはずの飛行機が欠航に。

前作は少しミステリな要素があったけど、今作は人間関係とくに上司と部下との板挟みの悲喜こもごもという感じがしました。
遠藤はグアムから来た枝元をスーパーバイザーにするべく教育する立場にあって、さらに空港閉鎖に伴いセンダーの女の子たちに不穏な空気が流れ始めたりでひとりだけ悪者になってしまったようで可哀想。

でも職場での自分の立ち位置がどんな状況になっていたとしても、お客様を安全に送り出すという職務を忘れないプロ意識はさすがです。
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by MameBean | 2010-09-16 18:30 |     ─小説・エッセイ

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

森見 登美彦 / 角川書店(角川グループパブリッシング)


小学四年生のぼくが住む郊外の町に、突然ペンギンたちが現れた。

物語の舞台は京都でもないし、ヘタレ大学生も出てきません。
これはあえての封印なんでしょう。
でも子どもがちょっと不思議な体験をするのは前作「宵山万華鏡」からの流れですね。

ペンギンがどこからともなく出てきたり、不思議な〈海〉と命名した物体が出現したり、歯科医院のお姉さんが巻き起こす不思議な出来事。

小学生らしからぬ理論的な語り口でたんたんと語られるので、途中すこし中だるみする部分もありますが、終盤の〈海〉が見つかってから物語はぐんぐん加速します。

そして気がつくと、ウチダ君も、ハマモトさんもスズキ君もお父さんもお母さんも、お姉さんも、出てくる全ての登場人物が愛おしくて、また会いたいなぁとおもってしまいます。
とくにオトナはズルいのだ!と堂々と言ってのけるお姉さんが大好き。

郊外の小さなまちで、世界の果てを探求する少年がひと回り大きくなって、ちょっと頼もしい。

読み終わったあと、夏休みが終わっちゃうような寂しい余韻が残ります。
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by MameBean | 2010-08-20 18:18 |     ─小説・エッセイ

製鉄天使

製鉄天使

桜庭 一樹 / 東京創元社


鉄を味方につけ、レディース〈製鉄天使〉を結成し、中国地方にその名を轟かせた伝説の女、赤緑豆小豆。

小豆の中学入学直前から始まる本作。名前こそ違うけど、中国地方の製鉄所と不良少女、不思議な能力というキーワードで赤朽葉家の外伝的な作品だとピンときます。

桜庭氏のインタビューで「花のあすか組!」をイメージして書いたようなことを読みましたが、まさにあすか組の世界。
あぁ、私も読んでましたよ‥‥。おシャンだとかマスコットだとかなつかしい。武器商人みたいな人もいるし。
本作、そんなノベライズのような世界観で、言葉も台詞じみているし、ちょっと感情移入はしにくい。小豆の鉄を操る特殊な能力とか、ハイウェイダンサーの牛糞で文字を書く(笑)特技とかも。
でもあすか組好きだったのでこういうの嫌いじゃないです。読む人によって好みは分かれそうですけどねー。

少女から、大人へ。たった数年の物語だけど、ぎゅっと詰まった濃い時間。
こういう一代記みたいなのを描くのが上手いのが桜庭氏。

幕間に挟まれる物語の謎の語り手。
正体が誰なのか、どうしてそんな状況になったのか。最後に分かった時はなるほど!と思ったと同時に、笑っちゃいました。
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by MameBean | 2010-05-14 18:35 |     ─小説・エッセイ

少し変わった子あります

少し変わった子あります

森 博嗣 / 文藝春秋


失踪した後輩が通っていたのは、いっぷう変わった料理店。予約のたびに場所が変わり、毎回違う若い女性が食事に相伴してくれるという‥‥。

名前とかどんな職業についているのかって、たいした意味を持っていないんだな、と思う。むしろそういう情報があるからこそ、その人の本質が見えなくなることもあったり。

看板も名前もないお店。
初めて会った他人と食事をする。その人と食事をするのはその1回限り。
スナックやクラブのような接客をするわけではなく、時には会話もあるけど、あとはお互いにただただ食事をする。そんな不思議なお店。

友人にそのお店のことを聞いた主人公の教授は、そのお店に行くようになり、気がつけばだんだんとそのお店の魅力にとりこまれていく。たんたんと静かに物語は進むのに、どこかひやっと寒くなるような感覚。

主人公が大学教授ということで、どうしても森氏をイメージしてしまいます。それがよけいに現実と虚構との差をあいまいにしている気がします。

それにしても食べ方でお里が知れますよね。この本を読んでから、自分がどんな風に食事をしているのかがすごく気になるようになりました。
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by MameBean | 2010-04-08 18:10 |     ─小説・エッセイ

ビッチマグネット

ビッチマグネット

舞城王太郎 / 新潮社


父親が浮気をして出て行き、母は精神的に不安定で家にこもりっきり。仲のいい弟は反抗期。そして弟の彼女はビッチだ。

第142回 芥川賞ノミネート作

久々の舞城氏。面白かったー。
バイオレンスも死体も魔人も出てこなくて、今までの舞城氏のような尖った感じはなくいちばん普通なんだけど。
それも家族の物語。

香織里自身も言っているけど、両親が不仲で‥なんてそんな珍しいことじゃない。
冷静に家族のこと自分のことを分析する香織里の視点がおもしろい。家族と言えども結局他人なんだと思いながらも、実はまだ消化しきれてない自分。だんだんおかしくなってきている自分を認識していて冷静だ‥‥。

これって私?って思っちゃったのが、本も漫画も結構読む香織里が漫画を描いてみようと思うけど、何も描くことが見つからなくて呆然とするところ。
香織里は両親のことでそれなりに辛い経験をしてきてて、きっと描けるだろうと思い込んでたのに何も描けなくて、自分には物語がないんだと気がつく。
私は香織里みたいな経験はしてないけど、それなりに漫画も本も好きで読むし、絵心もない方じゃない。昔むか〜しは漫画家に憧れた時期もありました。でも描けないんですよねー。読むのと描くのとは全く違ったものなんですよね。
そういう挫折も経験して香織里は成長し、両親のことを違った目で見られるようになったとき、自分の物語を得る。
最後に香織里が書いた小説。他人のお葬式に紛れ込む女の子の話。すごく面白くて、これだけで1冊分の本になるんじゃと思うほど。
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by MameBean | 2010-03-31 19:39 |     ─小説・エッセイ

クレーの食卓

クレーの食卓

新藤 信(日本パウル・クレー協会) / 講談社

食いしん坊だった、画家パウル・クレー。
彼が残したメモや日記から、クレーのつくった料理を再現。

レストランをやっていた叔父の影響もあって、食通でもあったというパウル・クレー。
食通と言ってもレストランで大金を出して高価なものを食べるのではなく、むしろお金のない状況でおいしいものを食べるために工夫を凝らしたという人です。絵が売れない時代は奥さんが働き、クレーは主夫をしていたそうですね。
楽しんで料理をしていたと言うクレー。
海外に旅行に行けば、その土地の料理を身につけ、たまにレストランで食事ができると、そのメニューや材料をメモしたほど。ほんと食いしん坊だったんだなというのがうかがえます。
クレーのつくった料理のレシピも再現されていて、後ろから読むとレシピブックとしても使えるようになっています。
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by MameBean | 2010-03-23 18:15 |     ─小説・エッセイ

宵山万華鏡

宵山万華鏡

森見 登美彦 / 集英社


宵山の日に妹とはぐれた姉は、不思議な世界に迷い込んでしまう‥‥(表題作)。宵山にまつわる6つの連作短編集。

宵山とは祇園祭の山鉾巡行の前日に行われるもののことなんだそう。すごい人出なんだろうけど行ってみたいなー。たびたび出てくる蟷螂山は画像で見るとほんとカマキリ。すごいのでぜひ検索してみて下さい。

幼い姉妹、乙川の友人、画家とその姪、画廊の店主、それぞれに宵山の日におこった不思議な出来事。
いつもの森見氏とはちょっと違う妖しい雰囲気。まるで巨大な万華鏡の中の世界に入り込んだよう。文体まで今までとは違いますね。正直、いままでの森見氏は何を書いても似た内容、似た雰囲気な感じがしてましたが、今回は新たな一面を見た感じがします。

6編それぞれが1話完結の短編でもあるけど、登場人物や出来事がリンクしていて、全体を通してひとつの大きな物語になっています。
特に好きだったのが娘を宵山の日になくした画家とその姪、画廊の店主に起った無限ループの一連の話。物悲しくもある、最後に画家が選んだ道。

そして森見氏の作品に登場したことのある面々も登場。森見ワールド全体としてもつながってますね。
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by MameBean | 2010-02-24 18:35 |     ─小説・エッセイ

きのうの神さま

きのうの神さま

西川 美和 / ポプラ社

医者になる夢をあきらめ、医療メーカーに勤める兄。大学で研究をする弟。医者の父親が倒れ、兄となかなか連絡が取れない‥‥。

映画「ディア・ドクター」の監督が書いた短編集ですが、映画の原作と言うわけではないよう。映画製作のために医療の現場を取材していたなかで、映画には入り切らなかったエピソードなどをもとに書いたようです。

西川さんは気になっていた映画監督さんでしたが、作家としての一面も持っているんですね。もともとは脚本家、と言った方が正しいのかな。自身で脚本を書いた作品で映画監督デビューしています。小説でも独特の空気感を持っていて、三島由紀夫賞や直木賞の候補にもなってたりもするので実力は折り紙付き。

短編集ですが、どの話も僻地での地域医療という共通点があります。映画ディア・ドクターも地域医療を描いたものみたいですね。

仮病を使って医師を呼ぶおばあちゃんのもとにそれが分かっていながら行ったり、死が近いおじいちゃんに点滴をすることもなく、自宅で水分を取ることだけすすめる。
先日読んだ「ノーフォールト」とは全く違う医療の現場を描いています。土地の人たちには死に対する、ある意味あきらめというか諦観のようなものがありますね。そういった人たちに対して、何をするのが最善なのか。
「満月の代弁者」のなかで、医者が老婆の孫娘にささやいた嘘。
最新の施設で高度な治療を受けることだけがいい医療ではないですよね。

全編通してゆったりとした空気が漂っていて、大事件が起ったり印象的な出来事が起るわけではないけど、不思議と心の中に残る作品。
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by MameBean | 2010-02-21 16:35 |     ─小説・エッセイ