図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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カテゴリ:借りた本─ミステリ( 139 )

カラスの親指

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

道尾 秀介 / 講談社


詐欺を生業とする武沢ことタケさんと相棒の鍵師・テツさん。ふたりのもとにある少女が転がり込んできて‥‥。

中年男ふたりと、少女、それにおまけがついて5人プラス1匹の不思議な共同生活が始まる。5人中4人には家族の死とヤミ金という暗い過去があるのに、それを忘れてしまうような疑似家族にいつしかなっていく。そんな時、タケさんが昔関わったある組織に狙われだし、だんだん嫌がらせもエスカレートしていく。

5人が最後に打って出た大勝負の結果は‥‥。
最後の最後で二転三転あって、救いようのないように思われた彼らの人生に明るい陽射しがさすラストは嫌いじゃない。‥‥なのに、あぁ上手く騙された!という爽快感ではなく。ちょっと話ができすぎのような感じがしなくも。
黒百合を読んだ後だったので、あちらのインパクトと方程式が成立するようなスッキリ感と比べてしまうからでしょうか。
小さな騙しが積み重ねられて最後にひっくり返されるその仕組みが、小さな騙しに気づかない私には高度なのかもしれない。最後に一つひとつタネ明かしがあるのが説明的過ぎるけど、それがなかったら私には分からない‥‥。
それが消化不良な感じ。まぁ、ひと言で言えば好みの問題なのかもしれませんが。

 人間は人間を信頼しなきゃ生きていけないんです。
 絶対に、一人じゃ無理なんですよ。
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by MameBean | 2009-05-22 18:46 | 借りた本─ミステリ

黒百合

黒百合

多島 斗志之 / 東京創元社


父の友人に六甲の別荘に招かれた進は、別荘の近くの池で少女に出会う。2009年版このミスランクイン作品。

中盤まで読んでふと、これのどこがミステリなんだろう?と気になりました。
進・一彦・香の3人の中学生が六甲でかけがえのない時間を過ごしているのが瑞々しいタッチで描かれていて、ミステリであることを忘れてしまいます。少女への淡い恋心、恋敵である友達との関係。青いなーと思うような感情。だけど、この時代にしかない青さが今はうらやましい。

彼らの物語と交互に差し込まれるのが、それより10年ほど前におこった出来事。ドイツへの視察旅行、香の叔母の女学生時代、‥‥そして殺人。それらがどうやって関わっていくのか。あれこれ想像しながら読み進めていきましたが、ラストでのこの犯人は予想だにしませんでした!
ドイツでの彼女があの人で‥‥、六甲の女王は‥‥と思っていた私は軽く混乱。もういちど読み返してみましたが、完全には理解できてないような気も。でもこのタイトル「黒百合」の意味するところは分かりました。なんて大胆な‥‥!
私が伏線を読み落としてるのかもしれませんが、ラストでいろいろと明らかになる部分が多いので、フェアかどうかというと微妙な気もします。
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by MameBean | 2009-05-15 19:22 | 借りた本─ミステリ

氷菓

氷菓 (角川スニーカー文庫)

米澤 穂信 / 角川書店


省エネ体質な折木奉太郎(おれき ほうたろう)は、姉の命令により廃部寸前の古典部に入部する。

いつの間にか密室になっていた教室、毎週同じ曜日に貸し出される本、文集を探させてくれない新聞部員、三十三年前に高校で起きたこと。
謎を解決するのが、無駄なことはできるだけやりたくないという「省エネ」体質のホータロー。小市民シリーズでいう小鳩くんですね。ホータローは成り行きで謎を解決しますが、日常の謎なので、タネを知ってしまえばなーんだという感じ。でも、こういうのに気づけるのも才能です。

ホータローは高校生活は「灰色」だと口癖のように言っていますが、巻き込まれる形でも謎を解決していくうちに、我を忘れて熱中するものを持てる「薔薇色」な高校生活を送る人たちに憧れている自分に気づく。
自分たちの高校生活がある犠牲のもとに成り立っていることを知るのが、同じ古典部の部員・千反田えるに頼まれた彼女の叔父さんにまつわる謎を解いたとき。文集「氷菓」に込められたある哀しい思い。そんな気持ちを知ってしまったらもう灰色だなんて言えないですよね。

米澤氏デビュー作な本作。日常の謎であることとか、小さな謎が積み重なって最後の大きな謎に繋がること、そしてホータローの性格など、小市民シリーズの原型になっている感じがします。でも裏の顔みたいな部分がない分、青春ミステリ色が強い感じがします。
1作目なのでまだホータロー以外のキャラがそれほど掘り下げられていないかなー。個人的には里志にはまだまだ描かれていない部分があるような気がするんですけどね。だから2作目以降、どう描かれるのか楽しみです。
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by MameBean | 2009-05-11 19:02 | 借りた本─ミステリ

チャイルド44

チャイルド44 上巻・下巻 (新潮文庫)

トム・ロブ スミス / 新潮社


物語の舞台はスターリン政権下のソ連。犯罪は存在しないとされる国家で起きる殺人事件。

冒頭から信じられないような飢えと戦う極限状態。
1933年のウクライナの村での出来事、20年後の少年の事故死、そして次々と犠牲になっていく少年少女。目まぐるしく場面が変わり、これらがどう繋がっていくのか最初は想像できませんでした。

理想社会とされる共産主義国家には犯罪は存在しない。それが建前のソ連で起きた殺人事件。
今まで順風満々な生活を送っていた国家保安省のエリート捜査官・レオの生活が、部下の策略で一夜にして変わってしまう。
善良な市民がある日突然誰かの密告によって非国民として捕らえられてしまう。これがこの国の実状。

そんな国家ではたとえ殺人の疑いがあっても、殺人であってはいけない。もし殺人とするならば、犯人が分かっていなければならない。その犯人は誰でもよかったりする。西側と通じていたとか適当な理由を付けて捕まえてしまえば、もう反論する余地はない。

レオはたくさんの子どもたちが惨殺されているのを知っているのに、一度事故で片付けられてしまった事件は捜査することもできない。そしてレオにも身の危険が迫る。強制収容所送りになったレオと妻のライーサは、犯人を捜す以前にまず生き延びなくてはならない。幾度となく訪れる絶体絶命の危機。そして誰も信じられない状況下で、レオは赤の他人を信用しなくてはならなくなる。また騙されてしまうのか。スリリングでページを捲る手が止まりませんでした。映画化されるわけだわー。

そしてラスト。終盤からうすうすと犯人が分かってしまいました。読み返してみると、符号が全部指し示しているんですよね。でも明らかになった動機には、そんなことのために?と思ってしまった。首に金属片を‥‥とか逃走中の様子が凄まじかっただけに、犯人のおそろしさがかすんでしまったような気も。

でも伏線が張り巡らされていてミステリとしても面白いし、殺人事件を描くことで共産主義の歪みを浮き彫りにしていて、全く知らない世界を垣間みれた面白さもありました。
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by MameBean | 2009-04-21 18:52 | 借りた本─ミステリ

犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫)

米澤 穂信 / 東京創元社

訳あって犬探し専門の調査事務所〈紺屋S&R〉を立ち上げた紺屋長一郎。
開業初日に舞い込んだ依頼は、人探しだった‥‥。

古典部シリーズが読みたいものの図書館に氷菓の蔵書がなくてどうしたものか、と思っているところ。とりあえずノンシリーズのこちらを借りました。

人探しに古文書解読、犬探しとは全く違うふたつの依頼。

所長の紺屋と助手(?)ハンペーの交互の視点で描かれていて、すぐにふたつの依頼がリンクしてるのが分かりますが、調査過程を報告し合わないからお互いがそれに全く気づかない‥‥。知ってるこっちはやきもきしてしまいます。やっぱり〈ほう・れん・そう〉は大事なんだと思ったり。
成り行きで探偵になった所長とは違い、ハンペーはずっと探偵に憧れていた。そのやる気と勘違いで空回りすることが多かったので、ハンペーの仕事が役立ってよかったと思ってしまった。
一方の紺屋は私立探偵なのにハードボイルドとはほど遠いキャラクタ。順調な人生からドロップアウトしてしまった彼は流れに身を任せつつも、確実に佐久良桐子が行方不明になった理由に近づいていく。
その理由が自分に起らないとは言えない出来事で、ちょっと背筋が寒くなりました。
終盤はそれまでのまったりしたムードとは一転、ハードボイルドなスリリングな展開。でもハードボイルドなのは所長の妹でした(笑)
そしてラストはかなり意外なものでした。ある人のそれまでのイメージをひっくり返してしまうもので、後味があまりよろしくないけど、こういうラストは嫌いじゃないです。

最初に書いたようにこの作品はノンシリーズですが、チャット仲間のGENなる人物は最後まで正体は明かされないし、〈紺屋S&R〉に仕事が舞い込むきっかけになっている紺屋の友人も話しだけで登場していない‥‥と、まだまだ明かされない謎があるのでシリーズ化しないものかと期待しています。

 当分の間、私はナイフを手放さない。
 今回の報酬で、番犬を買おうかと思っている。
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by MameBean | 2009-04-09 18:21 | 借りた本─ミステリ

ウォリス家の殺人

ウォリス家の殺人 (創元推理文庫)

D.M. ディヴァイン / 東京創元社


人気作家ジョフリーの別荘“ガーストン館”に招かれたモーリス。彼はジョフリーが兄ライオネルから脅迫を受けていると家族から相談を受ける。

ジョフリーの家庭はいつか事件が起こるのでは、という緊張状態に満ちている。そしてとうとう起こる事件。
が、証言は食い違い、事件の進展もなく時間が過ぎていくので盛り上がりに欠ける感じがあります。
それが、ジョフリーの伝記を書くことになったモーリスが、少しずつジョフリーの隠された過去に近づいていき、事件の背後が見えてくると面白くなってきました。まぁそれは本当に終盤なんですが。
明らかになるある人物とジョフリーとの意外な関係。そして意外な犯人。動機が弱いような気もしますが、登場人物が限られたなか、2度の驚きがありました。

この作品はトリックうんぬんではないので、証言を一つひとつ検証すれば犯人は分かるようになっています。読者にも十分に情報が提示された本格ミステリということですね。でもこの地道で論理的な作業が私は苦手‥‥(笑)もちろん犯人は分かりませんでした。

この表紙の時計ってオルセー美術館の大時計ですかね。ちなみに時計はストーリーとは関係なかったです。
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by MameBean | 2009-04-01 18:34 | 借りた本─ミステリ

人格転移の殺人

人格転移の殺人
(講談社ノベルス)

西澤 保彦 / 講談社

人格が入れ替わってしまう装置に入ってしまった6人の男女。脱出不能、外部との連絡ができない中で殺人が起こる‥‥。

次々に肉体から魂が転移してしまう、という点にだけ絞った潔さが西澤氏らしい。
装置が何のために作られたのかなんて問題じゃない。無駄なものをそぎ落としたSFミステリ。入れ替わりについてはいくつか法則は見つかってるので、それを無視したアンフェアな事は起こりません。「七回死んだ男」同様、設定は奇抜でもこの辺、きっちり本格ミステリです。

人格が転移した中で起きた殺人。誰(体)が殺したかはわかっているけど、人格は6人のうち誰なのか。そしてもとの自分の体には戻れるのか。
物語の舞台がアメリカで、海外における日本人の劣等感を描きつつ、それが事件にも大きく関係していく。どうしてこの6人なのか。すべてがよく練り上げられたものだとわかります。
そして最後にわかる転移を止める方法には、ちょっとほんわかした気分になりました。
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by MameBean | 2009-03-17 18:10 | 借りた本─ミステリ

パラダイス・クローズド

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス)

汀 こるもの / 講談社

周囲の者が次々と殺人や事故に巻き込まれる死神体質の双子、美樹と真樹。彼らをミステリ作家が孤島に招待する‥‥。
第37回メフィスト賞受賞作。

魚オタクで「死神体質」な高校生探偵・美樹。そんな美樹に振り回され、事件に巻き込まれるのは双子の弟・真樹。そして彼らのボディーガード役の刑事。
「死」によく出くわすのは探偵ならしょうがないこととはいえ、高校生探偵がもし実在したらこんな性格になるのでしょうか。確かに某名探偵の孫とか、親友や親戚が事件に巻き込まれてますからね。

美樹や推理作家陣から出てくる台詞は密室だの、二十則だの、十戒だのと、本格好きの人を意識した作品で、メフィスト賞らしいと言えばメフィスト賞らしい。そして最後には本格を逆手にとった、探偵がまさかの暴挙。本格でこんなことしたらふつう怒っちゃいますよね。この辺もメフィスト賞らしい。

しかし、双子の美樹真樹はわりとキャラクタが描かれているのに対して、推理作家陣のキャラが全然描かれていないので、誰が誰なんだかという以前に何人いたのかさえあやふや‥‥。そんな状況なので、とても犯人が誰なのか考えられませんでした。
そして、解決編が長いですね。犯人が判るのがちょっとあっけなく早いわりに、探偵による解決編がくどく感じられます。本格好きな人を意識したのならもっとコンパクトでもよかったのではー、と思ったり。
また、美樹が語る魚蘊蓄が膨大なんですが、流し読みでも全然オッケーでした。トリックに関係することはするんですけどね。
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by MameBean | 2009-03-06 18:15 | 借りた本─ミステリ

七つの死者の囁き

七つの死者の囁き

有栖川 有栖 ほか/ 新潮社


7人の作家によるアンソロジー

■有栖川有栖「幻の娘」
殺人事件の容疑者が主張したアリバイを証明するのは、10年前に死亡した少女‥‥。

■道尾秀介「流れ星のつくり方」
とある夜に出会った少年が出した謎。それは殺人事件の現場からどうやって犯人は逃げたか‥‥。

■石田衣良「話し石」
「話し石」という不思議な石の収集家。1001個の話し石を集めると、願いが叶うという‥‥。

■鈴木光司「熱帯夜」
映画館にかかってきた1本の電話。これがある男女の運命を大きく変えた‥‥。

■吉来駿作「嘘をついた」
「君が死んだら、僕も死ぬ」。約束した少女が死に、残された少年の身に不思議な出来事がおこる ‥‥。

■小路幸也「最後から二番目の恋」
記憶と引き換えに、過去の叶わなかった恋をやり直すことができると言われたら‥‥。

■恒川光太郎「夕闇地蔵」
お地蔵さんのそばに捨てられていた地蔵助。彼には不思議な見え方をする目を持っていた‥‥。

「死者」をテーマにしたアンソロジー。
ミステリだったりファンタジーだったり。「死者」がテーマでもホラーのようなおどろおどろしい怖さは少なかった。「夕闇地蔵」はちょっと怖かったですけど、童話のような雰囲気。童話ってちょっと残酷なもの、ありますから。

「嘘をついた」は、ありがちなホラーのようでいて着地点はミステリ。幽霊よりも生きてる人間のほうが怖いと思った。
道尾氏の「流れ星の作り方」は伏線の回収がうまい、というか最後の一文が秀逸。米澤氏の「儚い羊たちの晩餐」同様、フィニッシング・ストロークってやつですね。
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by MameBean | 2009-02-19 18:20 | 借りた本─ミステリ

死写室

死写室

霞 流一 / 新潮社


私立探偵紅門福助(くれないもんふくすけ)が事件を解決する、映画界を題材にした連作短編集。

「届けられた棺」「血を吸うマント」「霧の巨塔」「首切り監督」
「モンタージュ」「スタント・バイ・ミー」「死写室」「ライオン奉行の正月興行」

映画館、試写室、ロケ先、セットの撮影現場。映画にまつわる場所で、映画関係者による事件が起こる。
「首切り監督」での首入れ替えのトリックが驚きでした。まさか‥‥!な凶器です。さらに動機もシュール‥…。「ライオン奉行の正月興行」での死体の隠し場所もかなりぶっ飛んでます。
コメディタッチの描写、アクロバチックな仕掛けで、ユーモアミステリといった雰囲気だけど、モチーフは密室、首切り、消えた足跡、死体移動と本格の匂いがします。
随所で描かれるのは活動屋と呼ばれる映画製作現場のプロたちのプライドと、配給会社側の金銭的な思惑など、映画製作に関わる人たちの温度差。これは作者自身感じたことがあるものなのかも。著者はもと映画会社勤務、という経歴の持ち主だそう。
作中登場するのは「吸血紳士ジャパキュラ」「仁義オブ・ザ・リビング・デッド」「アーケードの女」など、思わずムフフ‥‥な映画のタイトル。
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by MameBean | 2009-02-06 18:28 | 借りた本─ミステリ