図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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カテゴリ:借りた本─ミステリ( 139 )

ノーフォールト(上)

ノーフォールト(上)(ハヤカワ文庫JA)

岡井 崇 / 早川書房


城南大学病院に勤める女性産科医・柊奈智。
深夜の当直で容態が急変した妊婦の帝王切開手術を行なうが、数日後、原因不明の出血がおこる‥‥。

ドラマ「ギネ」の原作で、現役の産婦人科医による医療ミステリー。
オペの様子とか映像となるとキツそうだなと思って本で読むことにしましたが、文字でも十分キツかったです。オペ台が血の海だとか。ヒー‥‥。
ドラマでの奈智は他人とあまり分かりあおうとしないようなクールは人物になっていますが、小説では自身の育児と過酷な勤務で精神的にも肉体的にもボロボロになりながらも、命を救えた喜びを噛みしめていてとても人間くさい人です。上司である医科長や研修医との信頼関係も良さそうだし。

産科医不足や妊婦の受け入れ拒否などは最近とくに問題になっていますね。私の知人も、妊娠中に危険な状態になって救急車を呼んだけど、受け入れ先がなかなか決まらなかった‥‥ということがあったのでこういう問題は人ごととは思えません。
母体と胎児という2人の命が関わってくるので産科は特に責任が重いですね。
この物語では奈智は担当した患者さんが亡くなってしまうという重大な局面に直面し、悩みながらも上司に助けられ、克服していこうとします。しかし思わぬ試練が待ち受けている‥‥というところで下巻に続きます。

本作は今の医療問題を知ってもらうために書かれたというだけあって、医師不足、過酷な勤務状況の割に裁判になることの多い産婦人科の問題点が描かれています。
医師の立場で描かれているので小説というよりドキュメンタリーを観ているような感じです。著者にとって初めての小説だとは思えません。
奈智は医師として立ち直れるのか‥‥下巻につづきます。
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by MameBean | 2010-01-08 18:29 | 借りた本─ミステリ
e0030112_1723481.jpgある意味、年末の風物詩でもあるミステリランキング本。

本格ミステリベスト10とこちらをぱらぱらっと立ち読みしましたが、だいぶランクイン作が違いますねー。
選ぶ基準が違うんでしょうが。
このミスは短編の書き下ろしが3編も載って大幅ボリュームアップしたのに、ワンコイン500円。お買い得感にひかれての購入です。

ランキングには触れませんが、今年はやっぱり米澤氏が来てますねー。米澤氏すきだし、同郷で同い年(実は)としては嬉しいです。
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by MameBean | 2009-12-22 18:37 | 借りた本─ミステリ

「クロック城」殺人事件

「クロック城」殺人事件 (講談社文庫 き 53-1)

北山 猛邦 / 講談社


太陽に最大の黒点が発見され、地球が終焉を迎えつつある1999年。探偵である深騎のもとに、クロック城に住む少女から依頼が舞い込む。第24回メフィスト賞受賞作。

初めて読む作家さんで、名前と本の表紙の雰囲気からおじさんなのかなーと勝手に思ってましたが、西尾維新、佐藤友哉と同世代でほぼ同じ時期にメフィスト賞を受賞した30歳でした。本作が2002年にメフィスト賞を受賞。久しぶりのメフィスト賞は意外にも本格ミステリでした。北山氏の前が舞城、佐藤、西尾〜ですからね。

この物語の設定は特殊で、太陽の黒点の影響で磁場が乱れ、世界が終わると言われている世紀末。磁気の影響であらゆる機械は壊れ、警察は機能せず、電話も役に立たない。こんな特殊な状況が生み出す「城」という大きなクローズドサークルで首切り死体が発見される。城には「現在」「過去」「未来」を刻んだ3つの大きな時計。
この城にやってくることになったのが、ボウガンで〈ゲシュタルトの欠片〉を退治する南深騎。
〈ゲシュタルトの欠片〉とは、ゲシュタルト理論によるもので、ないものがあるように見える現象。思い込みや錯視のようなもの、かな? ここでは幽霊のこと。
ゲシュタルトの欠片、スキップマンなど感覚的、非現実的な描写があるかと思えば、トリックはきっちり本格。大胆な物理トリックに、驚きの切断理由なんです。
非現実的な部分と現実的な部分をあわせもった作品だと言えます。

トリックが分かってからもページは続き、終盤、結界だの何だのとメタミステリになっていくのかと危惧しましたが、一応探偵役により物語は終焉に向かいます。でも新たな探偵役が登場し、推理を覆していった時は驚いたなぁ。

 見つめるんだ。
 最後の瞬間、あんたは破滅か救済か、どちらを選ぶのか。
 世界はあんた次第なんだよ。
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by MameBean | 2009-12-10 18:38 | 借りた本─ミステリ

追想五断章

追想五断章

米澤 穂信 / 集英社


古書店を営む叔父の家に居候中の菅生芳光。
お店に父親の書いた小説を探しているという北里可南子という女性がやってくる。

リドルストーリーとは読者に委ねて結末を書いていない小説のことなんだそう。
初めて知りました。
米澤氏は「儚い羊たち」のフィニッシングストロークといい、凝った構成の小説を書きますね。作中には叶黒白の筆なる5つものリドルストーリーが挿入されています。

父親が書いたという5編の小説の最後の一文を見つけた可南子が、その小説探しを芳光に依頼する。小説を探すうちに芳光は「アントワープの銃声」というキーワードにいきつく。娘である可南子さえ知らない可南子の父親の鮮やかな過去を知っていく芳光。その過程で芳光は自分には物語が存在しないことに気づく。
叶黒白がリドルストーリーという体裁で小説を書いた理由、アントワープの銃声の真相もおぼろげに見えてきます。しかし本作もまた結末は描かれておらず、結末は読者に委ねられています。

米澤氏はこの本は担当編集者から「とにかく渋い話を」と言われて書いたとインタビューで語っていますが、確かに雰囲気が渋いです。派手さはなく、静かに物語が流れていく感じ、また切ないような清々しいような読後感が今までの米澤氏の作品とは少し違うもの。またひとつ新境地を開きましたね。

 生家の自室で一人となって。
 菅生芳光は、彼自身の物語を追想する。
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by MameBean | 2009-11-18 19:17 | 借りた本─ミステリ

乱鴉の島

乱鴉の島

有栖川 有栖 / 新潮社


烏島と呼ばれる島にやって来たアリスと火村。
その島にいたのは俗世との接触を絶って隠遁する作家とその知人たちだった。

久しぶりの作家アリスシリーズ。しかも孤島ものです。意外なことに作家アリスシリーズで孤島ものは初めてなんだとか。
アリスと火村がやって来た島は通称・烏(からす)島。えさが豊富にあるとは思えないこの島に、なぜかカラスがたくさんやってくるという。
カラスの剥製に、アリスが孤高の作家・海老原とポーの「大鴉」談義を繰り広げるなど、そこかしこにカラスが出てきます。表紙に書いてあるNevereverとは「大鴉」にでてくる言葉なのだとか。
烏と島、クロウとクローン、こんなところに言葉遊びが。

事件はというと、明らかになってみるととってつけたような動機で、火村も言っているようにありふれているもの。
むしろ事件の背景に隠されている彼らの「秘密」のほうが気になってしまいました。


 Neverever—ケシテモウナイ
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by MameBean | 2009-11-11 23:16 | 借りた本─ミステリ

カカオ80%の夏

カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)

永井 するみ / 理論社


高校2年生の凪は夏休みを迎えるころ、クラスメイトの雪絵が書き置きを残し姿を消した‥‥。

高校時代の友人関係って不思議なもので、当時仲が良くても卒業して月日が経つと会わなくなってしまう子もいれば、その逆で卒業してから仲良くなる子もいたり。私だけでしょうか?同窓会なんかで集まると、今だからいえる当時の話なんかが出てきたり。あの頃って友だちでも言えないことってあるんですよね。

凪はミステリとビターチョコが好きで、友だちと群れたりしない女子高生。大人っぽくてクールな女の子と言う印象。
クラスメイトの雪絵に頼まれて服を見立ててあげた数日後、雪絵は書き置きを残して失踪する。雪絵の母親から連絡をもらい、雪絵を捜し始める。雪絵がネットでしていた数々の書き込みは‥‥、雪絵のしていたバイトとは‥‥。

友だちと言えども全てを知っているわけではない。しかも特別親しいわけでもないならなおさら。
しかし時には危険な目に遭わされながらも行方をさがすのに何日もかけずり回っているって、立派な友情ですよ。

クールな印象だった凪も単に甘えるのが下手なだけで、まだ子どもな部分があり安心しました。周りに甘えさせてくれる人がいたのがよかったと思います。

それにしてもイマドキの東京の女子高生ってこんな感じなんでしょうか?あたり前のようにメイクをするのに、おばちゃんびっくりですよ。

続編「レッド・マスカラの秋」というのもすでに出ていて、本作に登場した子たちがまた出るみたいです。こちらも面白そう。春夏秋冬でシリーズ化していくのでしょうか。
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by MameBean | 2009-11-09 18:22 | 借りた本─ミステリ

十字屋敷のピエロ

十字屋敷のピエロ (講談社文庫)

東野 圭吾 / 講談社


持ち主に不幸なことが起るというピエロの人形を買い求めた女社長が自殺した。人形師がその人形をとりもどしにきた時、またしても死が訪れる‥‥。

雑誌CREAで東野圭吾特集をやってた時に、事件の目撃者がピエロの人形というのがおもしろそうだと思って借りてみました。ピエロだけが知っている犯行の状況や犯人がピエロの視点で描かれます。

事件は東西南北に張り出した十文字の形をしたお屋敷でおこります。東野氏の作品で屋敷の見取り図って意外な感じがします。
こんな特殊なお屋敷で、見取り図までつくからにはこの形がトリックに関係しているのは容易に想像できます。そのトリックに意外性はありませんでしたが、トリックにまつわる伏線が細かいのがさすが東野氏だと思わせるもの。しかも解説によると、執筆当時、東野氏は30代だったとか。
また最後の最後で、操り人形師のように影で糸を引いていた人物の存在がほのめかされ、いい意味で(?)後味の悪い作品になっています。
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by MameBean | 2009-10-20 18:18 | 借りた本─ミステリ

名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの名推理1

クレオ・コイル / ランダムハウス講談社


ニューヨークの老舗コーヒーハウスのマネージャーを勤めるクレアは階段から転落した店員の姿を発見する‥‥。
「コクと深みの名推理」シリーズ第一弾。

「NO」という言葉が自分に向けられているものだと決して思わない人、自分にはルールを守る必要がないと思う人、コーヒーを通して描かれるマンハッタンのちょっと癖のある人たち。そんな人たちにとってなくてはならない店として根付いているのが老舗のコーヒーハウス「ブレンド」。カフェイン抜き、フォームミルクなし、シロップ追加、どんな好みにも対応する。おいしそうなアレンジコーヒーのレシピなども載っていて、ふだんはお茶党の私でも飲みたくなりましたー。

コーヒーの描写、説明が多いので物語はなかなか進みませんが、素人探偵のクレアがコーヒー片手に事件の関係者から話を聞き出し、元夫とともにひと芝居うつ様子はスリリングでした。
元夫マテオ、クィン警部補、お店のオーナーマダム、などなど魅力的な人物が登場し、ちょっと気になる恋愛模様もあったりするので続編も気になるところです。
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by MameBean | 2009-10-15 18:18 | 借りた本─ミステリ

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫)

米澤 穂信 / 東京創元社


新聞部は放火犯を捕まえられるのか‥‥。放火犯はいったい誰なのか‥‥。

米澤氏と私は同郷なので「栗きんとん」と聞いて思い浮かべるお菓子は同じだと思います。おせちに入っている栗の甘露煮のじゃなくて、裏ごしした栗に砂糖を加えて茶巾絞りにしたもの。岐阜の中津川あたりの銘菓で、私も大好物。

本書のタイトルにもある「栗きんとん」はまさにそれで、甘い砂糖の蜜に何度もくぐらせて栗を甘くするマロングラッセとの違いが、小市民になりたくてもなりきれない小鳩くんと小佐内さんのことを上手く表わしているなーと思います。

上巻からの放火事件を通して、いったんは解消された小鳩くんと小佐内さんの互恵関係はぐるっと戻って落ち着いた感じ。しかし小鳩くんにはちょっと変化があったように感じます。小佐内さんは‥‥やっぱり狼ですね。
シリーズとして終盤というか最終章にさしかかってきているような雰囲気を感じました。次の冬季限定で終わっちゃうのかなー、と思うと寂しい。でも高校生活もあと半年ですからね。

それにしても上下巻と読んで思うのは、私はやっぱり堂島くんがいいなーということ。全く裏表がなく、自分の利益・不利益を考えずにまず行動するストレートさ。小市民を目指す小鳩くんからすれば不器用な生き方かもしれないけど、世の中みんな小市民じゃつまらないでしょ。

 なあ常悟郎。俺は思うんだが、
 お前は結局、小市民じゃないんだよ
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by MameBean | 2009-09-16 18:09 | 借りた本─ミステリ

Story Seller

Story Seller
(新潮文庫)

新潮社


伊坂幸太郎、近藤史恵、米澤穂信など、人気作家7人による夢の競演

『面白いお話、売ります』
と言うだけあって、どれも粒よりな物語。
だってこのメンツなんですから。

■首折り男の周辺 (伊坂幸太郎)
巷では首を折られる殺人事件が続発していた。そんな中、とあるアパートに住む夫婦は、隣人がその犯人の特徴に似ていることに気づく‥‥。
首折り殺人犯の男とその男に間違われた男、隣人が首折り犯だと疑っている夫婦、いじめにあっている中学生。
偶然が幾重にもからみ合って歯車が勝手に回りだす。中編ながらもきちっと描かれる正義感が伊坂氏らしい。

■プロントの中の孤独 (近藤史恵)
スペインより帰国し「チーム・オッジ」に入った赤城。同じ時期にチームに加入した石尾はチームから浮いていた‥‥。
サクリファイスに出てきた自転車のロードレースのチーム・オッジ。石尾と赤城がチームに入ったばかりの頃が描かれ、赤城が石尾のアシストを勤めるようになったいきさつが分かります。

■ストーリー・セラー (有川浩)
妻が、思考した分だけ生命力が削られると言う奇病にかかる。悪化させないためには物を考えてはいけないという‥‥。
ミステリでくるのかと思っていたので、思いがけないラブコメでドギマギしましたが、ラストの夫がたった一人の読者に戻るシーンは静かな涙をさそいます。

■玉野五十鈴の誉れ (米澤穂信)
儚い羊たちの祝宴に収録されているもの。
ラストの一文にゾクリとさせられました。

■333のテッペン(佐藤友哉)
東京タワーのてっぺんで死体が見つかる。殺人なのか?自殺なのか?
この主人公は鏡家の誰かなんでしょうかねー。素人だのなんだのという台詞に最初『?』でしたが、主人公の過去を推察するとそういうことなのかと。


■光の箱(道尾秀介)
童話作家となった圭介は昔同級生の少女と絵本を作っていたが、彼女とはとある事件がきっかけで疎遠になってしまっていた‥‥。
うまくミスリードされました。『ママがサンタにキスをした』を引用するあたり、お見事。
でも嫌な驚きではなくむしろうれしい。

■ここじゃない場所(本多孝好)
女子高生のリナは同級生がテレポーテーションをしたのを見る‥‥。
今回唯一の初読み作家さんでした。
主人公の妄想暴走気味なのが笑えました。でも端から見ると単なる片思いなんですけどね。


米澤氏以外は誰がどんな話を書いているか知らずに読んだので、サクリファイスのアナザーストーリーのようなものが読めてうれしくなったり、久しぶりの有川氏のラブコメに免疫が落ちていて赤面したりと楽しめました。
このアンソロジーは作家陣が読者の側に立って読みたいと思ったストーリーだったり、読者を意識して描かれているように感じました。
ストーリー・セラーに書かれていた台詞に共感。

 『読む側』の俺たちは単純に自分の好きなもんだけが読みたいんだよ。
 (中略)
 ベストセラーでも自分にとってはハズレのこともあるし、その逆もあるし。

『面白い話売ります』という看板に偽りなし。
どれが一番、とか甲乙つけがたいほど、自分が好きなものが詰まったアンソロジーでした。
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by MameBean | 2009-09-02 17:56 | 借りた本─ミステリ