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図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

米澤 穂信 / 新潮社



5つの連作短編集

■身内に不幸がありまして
 身寄りをなくし丹山家に使用人として引き取られた、村里夕日。彼女が仕える吹子とは秘密の書架を共有する仲になる‥‥。

■北の館の罪人
 六綱家の別館に幽閉されている早太郎に仕える、内名あまり。早太郎に、ある時は酢を、またある時は血を買いに行かせられる‥‥。

■山荘秘聞
 辰野家の所有する別荘「飛鶏館」の管理人をすることになった、屋島。美しい景色のもと、毎日客人を迎える万全の準備をしている‥‥。

■玉野五十鈴の誉れ
小栗家のただ一人の跡取りである純香。15歳の誕生日に祖母から贈られたのは、玉野五十鈴という使用人だった‥‥。

■儚い羊たちの晩餐
とある女学生が見つけた日記帳には、「バベルの会」を除名された元会員の日記が書かれていた‥‥。


具体的な時代背景は描かれていませんが、昭和初期のようなどこか古めかしい雰囲気。米澤氏は小市民シリーズとインシテミルしか読んだことがないので、ふだんの文章とのギャップにびっくりしました。そういえば発刊が延び延びになっている小市民シリーズの最新刊は「秋期限定栗金飩(くりきんとん)事件〈上〉」として今年出るそうですね。
それぞれ独立した短編ですが、「バベルの会」というキーワードで繋がっています。旧家のあるじと使用人という関係も共通するモチーフですが。「バベルの会」というのは読書サークルの名なので、たくさんの書籍名が出てきます。最近読んだ「ジーヴス」の名を見つけて嬉しくなりましたが、他はほとんど読んだことがないものだったので、また読みたい本が増えました。

米澤氏曰く「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた」とあって、ラスト一行にぞくりとさせられました。なかでも「身内に不幸がありまして」が秀逸だな、と思いました。また、最後まで読むと分かるタイトルの意味に、思わずニヤリとしてしまいます。
怖い、けど面白い。恐怖には甘美の味がします。ドキドキしながら最後の一行まで気が抜けません。
新年早々面白い本に出合えて、滑り出し好調です。
by MameBean | 2009-01-30 17:48 | 借りた本─ミステリ