図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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とりつくしま

とりつくしま
(東 直子 / / 筑摩書房)

* * * * * * * *

この世に未練を残して死ぬと『とりつくしま係』なるものが現れる。
そのとりつくしま係が言うには、この世にある何かモノにとりつくことができると言う‥‥。
11編の連作短編集。

・野球のロージンバック
・トリケラトプスのマグカップ
・公園の青いジャングルジム
・白檀の扇子
・図書館司書の名札
・母親の補聴器
・妻の日記帳
・マッサージ機
・先輩のリップクリーム
・孫に買ってあげたカメラ
・(番外編)宿り草

ここで描かれているのは11人11様の死の受け入れ方。突発的な事故で死んだ人、病気で死んだ人、幼い子供。現世に未練がない人なんていないと思う。そんな中で、家族に一目だけ会えることを選ぶ人もいれば、何かにとりついてずっと現世に残ることを選ぶ人もいる。

もし自分が何かにとりつくことができたら、何になろう?
ずっと家族と一緒にいたい気もするけど、あまりにも身近で変わっていく家族を見るのも辛い。自分の死を乗り越えて、新しい生活をはじめてほしい気持ちもある反面、忘れてほしくな気持ちもありますからね。
母親の補聴器になる『ささやき』のように、家族だからこそ近くにいて気持ちが通じないと苛立つことになりそう。とりついても口や手は出せず、見守ることしかできないのが辛いですね。
書道の師匠の愛用している白檀の扇子になる『白檀』のように、ある季節だけ使われるものがいいかなー、なんて。でもいずれ持ち主も亡くなってしまったら‥‥とか考えたら、未練をスッパリあきらめて成仏するのが一番いいのかもしれないけど。

ここで描かれているのは、すごく印象的な話とか起伏に富んだ話ではないけど、どの話にもそれぞれの家族のカタチや思い出がつまっていて、読み終わるとじーんと心に染み込んできます。折に触れてふと読み返してみたくなるなるような、そんな1冊でした。
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by MameBean | 2008-03-12 19:30 | ─小説・エッセイ