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図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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七回死んだ男

七回死んだ男 (講談社文庫)
(西澤 保彦 / / 講談社)

* * * * * * * *

同じ日が9回も繰り返されるという特異体質を持った高校生キュータロー。『オリジナル周』では生きていた祖父が次の周では死んでいた。祖父の死は食い止められるのか‥‥。


時に探偵は事件が起こってからしか犯人を暴けないと揶揄されますが、この探偵役は事件を文字どおり食い止めようとします。なぜなら同じ日を9回繰り返す『反復落とし穴』にハマるという特異体質を持っていて、その落とし穴にハマった日に事件が起こるから。
こういう設定はタイムリープと言うんでしょうか。ドラマ『モップガール』や『時をかける少女』なんかもこういう設定でしたね。
タイムリープ作品はいくつかあるけど、繰り返す日を選べない、繰り返すのはきっかり1日、繰り返す回数は9回、現実となるのは最後の1周でそれまでの周は他の人の記憶には残らない、といった条件がきっちり設定されているので、SFだから何でもありといったことにはなりません。フェアにストーリーが進むのでSF本格ミステリと呼べる作品になっています。

特異体質を活かして、なんとか祖父の死を食い止めようとするのが孫のキュータロー。でも犯人と思われる人を監視したら別の人が犯人になって、その人を監視してもまた別の人が犯人になって、全員を監視したら‥‥という展開が待ち受けていて、ことごとくうまくいかない。9回繰り返されるのが、逆に9回しか試せないというリミットになってしまって、試せる残り回数が少なくなってくる焦りがうまれたりして展開をさらに面白くしています。

こういう特殊な設定だから、ストーリーは犯人や動機、トリックなどを当てるものではありません。どうすれば祖父は死なないのか、というのがメインで、そこに祖父の遺言を巡るゴタゴタが加わり、兄弟や親戚の別の顔を知ってしまったり。ひとりでいろいろと背負い込まなくてはいけないし、タイムリープするのも大変そうですね。

そしていよいよ迎える最終周。それで大団円を迎えるのかと思いきや、驚きの真相。ほのかな恋愛の要素も加わって、最後まで失速することなく楽しめました。
by MameBean | 2008-02-05 17:01 | 借りた本─ミステリ