図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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ニッポニアニッポン

ニッポニアニッポン (新潮文庫)
(阿部 和重 / / 新潮社)

* * * * * * * *

鴇谷(とうや)春生は、自分の名前にある「鴇」の文字がトキを意味すると知り、異常な興味を持つ。そしてトキの解放または殺害を試みるために、ネットで大量の情報を入手する。


ニッポニア・ニッポン - 国の特別天然記念物であるトキの学名。
日本に多く存在したトキは乱獲によって数が減ったため、国によって保護・人工飼育されたが繁殖に失敗し、日本産トキは2003年に絶滅。しかし、ニッポニア・ニッポンという学名ゆえに、環境庁が日本国内での種の保存にこだわり、周囲から隔離・監視されている‥‥。

人間が巣の上空にヘリコプターを飛ばしたため、トキが巣を放棄してしまった‥‥なんて出来事が実際にあったんですね。人間が関心を持てば持つほど、どんどん絶滅へのスピードを加速する結果となったトキ。でも未だにトキへの関心はつきないんですね。

主人公・春生はトキの境遇に自分自身を重ねた。
中高生の頃思い描いた(もしくは刷り込まれた)将来設計が、ひとつ崩れるとすべてがダメになってしまったように感じる。で、同じ境遇であるかと思い込んでいたトキに裏切られたと感じた時、春生の思いは爆発する。
この自分自身の親子関係や恋愛などの問題を、国家思想的な問題にすり替えてしまうのが、ブラックユーモアのようで面白い。引きこもりなのに、武装決起のために自動車の教習所に通ったりランニングして体力づくりをしたり‥‥って、ここも突っ込んでいいんですよね?

ただ、武装決起するまでが長くて、しかもネットのニュースや論文からの引用部分が多いのがもどかしい。主人公がネットから情報を得ていたゆえなんだろうけど、情報を羅列されても私には消化しきれないのですよ。

しかし、佐渡で出会った少女との交流で、何か変化が起きそうな予感を漂わせつつのこのラストは面白いなー。


 昨夕から薄々気づきかけていたことを明確に悟った 
 —運命とは、全く無意味なものだと。
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by MameBean | 2007-09-06 17:45 |     ─小説・エッセイ