図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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香水―ある人殺しの物語

香水―ある人殺しの物語
(パトリック ジュースキント / / 文藝春秋)

* * * * * * * *

18世紀フランス、町は悪臭にまみれていた。
望まれずにこの世に生をうけたグルヌイユには体臭というものがなく、代わりに人並みはずれた嗅覚を持っていた。ある日、少女から理想的な香りがただよってきた‥‥。

「パフューム - ある人殺しの物語」というタイトルで映画化されています。ラストに衝撃のシーンがあるとかで、かなり話題になった映画です。


この物語はグルヌイユという男の一代記でもあります。
ミステリの分類にはいるんでしょうが、当時のパリの人々の生活・風俗を知る資料のようでもあり、当時の人たちの活気が伝わってきます。
匂いがテーマの物語だけあって、古チーズ、酢、玉ねぎ、鼠の糞‥‥いろいろな匂いが登場して、本当にその匂いがしているような錯覚がして思わず息を止めてしまいます。いい匂いも出てくるけど、臭い匂いの方が強烈な印象に残りますね。匂いって映像化が難しそうですけど、映画ではどう表現されてるんでしょう。

人間や川、食べ物などすべての物がひどい匂いを放っている中、唯一匂いのしないのが主人公・グルヌイユ。
その代わりに手に入れた“絶対音感”ならぬ“絶対嗅覚”とでも言うべき、匂いを嗅ぎ分ける能力。

好きな匂いを追い求めることが全てだったグルヌイユの一生。ひとり洞窟で何年も暮らすという、笑ってしまうようなことをもやってのけたこの男。でも、本人はいたって真剣で大真面目なんです。むしろ彼の行動は論理的というか、1本の筋が通っています。それは理想とする香りを調合し、自分のものとすること。
そのために、世間の常識やモラルが理解できなかったのかも知れない。
もともと自分の興味のあること以外学んでこなかったし、誰も教えてくれなかった。

自分の夢を実現したラストはかなり衝撃的。
まるで匂いのように跡形もなく消えてしまったグルヌイユの人生。でもこんな人生でもこの人は幸せだったのかもしれません‥‥。



 悪臭はなだしき巷に生をうけ、ゴミと埃、芥にくるまれ、
 愛なくして育ち、人のなさけとは遠く、
 反感と嫌悪を糧にして成人した
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by mamebean | 2007-07-11 09:10 | 借りた本─ミステリ