図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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ハリガネムシ

ハリガネムシ
(吉村 萬壱 / / 文藝春秋)

* * * * * * * *


高校教師である「私」は客として知った風俗嬢サチコと再会した。
サチコが家に入り浸るようになり、私の堕落した生活が始まった‥‥。(表題作)
表題作の他に『岬行』を収録。

第129回芥川賞受賞作(表題作)。


ハリガネムシって見たことありますか?
カマキリなどに寄生する虫で、寄生されたカマキリのお尻を水につけてしばらくすると、黒くて細長い虫が出てくるんです。
テレビでその映像を観た時、卒倒しそうになりました。

『ハリガネムシ』
普通の生活をしていたはずが、だんだんと堕ちていく主人公。
サチコに対する暴力的な衝動が徐々に膨らんでいく。

暴力的でグロい表現は『独白するユニバーサル横メルカトル』で多少の免疫がついたかと思っていましたが、ダメでしたね。現実味を帯びている分、本作のほうが強烈な印象が残ります。


『岬行』
こちらも『ハリガネムシ』に似た印象。
でもグロさが少ない分読みやすく、また主人公にも共感できる部分があった。

『ハリガネムシ』『岬行』とも、小市民であろうとしていたのに、どこかで道を踏み外してしまう主人公。

勤勉に務めることができない。
普通であることを壊したくなる衝動。
汚いもの、醜いものを見てみたい。
そいうったタブーを犯したくなる欲望は誰にでもあるものなのかもしれない。
それを自分の中で上手く飼いならしていけるかが、堕ちるか堕ちないかの分かれ道なのだろう。

 何度も小市民になり切ろうと思って失敗してきた。
 どこか逸脱していくものがあって、
 生活が安定してくると発作的にリセットしたくなる。


自分の中にハリガネムシがいない保証はない。
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by mamebean | 2007-06-18 17:29 |     ─小説・エッセイ