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図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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天女の末裔

天女の末裔・放課後—江戸川乱歩賞全集〈15〉
(鳥井 架南子 東野 圭吾 日本推理作家協会 / 講談社)

 * * * * * * * *
江戸川乱歩賞を受賞した、鳥井架南子の『天女の末裔』と東野圭吾の『放課後』を掲載。
神様の祟りを恐れる山村で、23年の時を経て再び起きた不可解な転落死事件。二人の男女が、自らも窮地に追い込まれながら真相に迫る(『天女の末裔』)。


これは、どこからがフィクションなんだろう‥‥。
私はこの物語で重要な舞台となっている岐阜県の出身です。
王御滝郡という地名は実在しないし、シャーマニズム的な話も聞いたことはない。でも 伊勢湾台風はもちろん現実にあったもの。
山に囲まれ、川や滝が多い岐阜県という地域には、何かしらシャーマニズム的イメージがあるのかも知れない。

心許なかった主人公が自分の出生の秘密を調べることで、ちょっとずつ成長していく様を、川に絡めて表現しています。川は私にとっても身近でいて、そして危険なもの。
今年の夏は海や川での事故が多く報道されたけど、地元の人間は川の怖さを知っているから、決して安易な気持ちで入ったりはしない。川は急に流れが速くなったり川底が深くなるから、それらを熟知していないと危険な目にあってしまう。
川の怖さを知っているからこそ、川を越えた主人公の気持ちが分かるような気がする。


女性が作者にしては民俗学という少し硬い内容で、卒論の文章の引用があったりして読みにくいかと思ったけど、出生の秘密と殺人を絡めることで読みやすくなっている。

ただ、ミステリ的にはすごいトリックがあるわけではなく、ダイイングメッセージもあっけない感じ。登場人物が限られてますからね、犯人も消去法で分かってしまう。


東野圭吾目当てで借りて、『天女の末裔』はかる〜く読もうと思っていましたが、意外とハマりました。民俗学系はわりと好きかもしれない。
で、肝心の『放課後』は返却日が迫ってしまったので読めず終い‥‥。また借ります。
by MameBean | 2006-11-09 11:34 | 借りた本─ミステリ