図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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きのうの神さま

きのうの神さま

西川 美和 / ポプラ社

医者になる夢をあきらめ、医療メーカーに勤める兄。大学で研究をする弟。医者の父親が倒れ、兄となかなか連絡が取れない‥‥。

映画「ディア・ドクター」の監督が書いた短編集ですが、映画の原作と言うわけではないよう。映画製作のために医療の現場を取材していたなかで、映画には入り切らなかったエピソードなどをもとに書いたようです。

西川さんは気になっていた映画監督さんでしたが、作家としての一面も持っているんですね。もともとは脚本家、と言った方が正しいのかな。自身で脚本を書いた作品で映画監督デビューしています。小説でも独特の空気感を持っていて、三島由紀夫賞や直木賞の候補にもなってたりもするので実力は折り紙付き。

短編集ですが、どの話も僻地での地域医療という共通点があります。映画ディア・ドクターも地域医療を描いたものみたいですね。

仮病を使って医師を呼ぶおばあちゃんのもとにそれが分かっていながら行ったり、死が近いおじいちゃんに点滴をすることもなく、自宅で水分を取ることだけすすめる。
先日読んだ「ノーフォールト」とは全く違う医療の現場を描いています。土地の人たちには死に対する、ある意味あきらめというか諦観のようなものがありますね。そういった人たちに対して、何をするのが最善なのか。
「満月の代弁者」のなかで、医者が老婆の孫娘にささやいた嘘。
最新の施設で高度な治療を受けることだけがいい医療ではないですよね。

全編通してゆったりとした空気が漂っていて、大事件が起ったり印象的な出来事が起るわけではないけど、不思議と心の中に残る作品。
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by MameBean | 2010-02-21 16:35 |     ─小説・エッセイ