ノーフォールト(下)
2010年 02月 05日
奈智を精神的にも追い込んだ裁判。
裁判によって奈智がぼろぼろになり、患者さんと前のようないい関係が築けなくなっていく姿が辛かったです。
日本の医療が訴訟化し、それが医師を苦しめ、医師と患者との関係が歪んだものに‥‥という悪循環。日本の医療もアメリカのようになっていってしまうのでしょうか。
諸外国と比較し、上巻よりもさらに日本の産科の問題を掘り下げています。
医者が訴訟を意識した医療をする。そんな医療に日本も向かいつつあるんですね。
最近一般的になってきているインフォームドコンセントも、判断を患者に任せることで訴訟になった時の逃げ道を作る、という側面もあるそう。
最後に意外な人からの手紙が届き、日本の医療の問題点が熱い想いで語られます。その手紙のなかで出てくるのが「ノーフォールト」という無過失補償制度。
これは諸外国で実施されている制度で、過失の有無を争うのではなく、まず患者を補償するというもの。病院も患者も遺族も救われる制度。著者が日本でも実施されるのを望んでいます。そんな制度ができることを私も切に望みます。
by MameBean
| 2010-02-05 18:11
| ─小説・エッセイ