図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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追想五断章

追想五断章

米澤 穂信 / 集英社


古書店を営む叔父の家に居候中の菅生芳光。
お店に父親の書いた小説を探しているという北里可南子という女性がやってくる。

リドルストーリーとは読者に委ねて結末を書いていない小説のことなんだそう。
初めて知りました。
米澤氏は「儚い羊たち」のフィニッシングストロークといい、凝った構成の小説を書きますね。作中には叶黒白の筆なる5つものリドルストーリーが挿入されています。

父親が書いたという5編の小説の最後の一文を見つけた可南子が、その小説探しを芳光に依頼する。小説を探すうちに芳光は「アントワープの銃声」というキーワードにいきつく。娘である可南子さえ知らない可南子の父親の鮮やかな過去を知っていく芳光。その過程で芳光は自分には物語が存在しないことに気づく。
叶黒白がリドルストーリーという体裁で小説を書いた理由、アントワープの銃声の真相もおぼろげに見えてきます。しかし本作もまた結末は描かれておらず、結末は読者に委ねられています。

米澤氏はこの本は担当編集者から「とにかく渋い話を」と言われて書いたとインタビューで語っていますが、確かに雰囲気が渋いです。派手さはなく、静かに物語が流れていく感じ、また切ないような清々しいような読後感が今までの米澤氏の作品とは少し違うもの。またひとつ新境地を開きましたね。

 生家の自室で一人となって。
 菅生芳光は、彼自身の物語を追想する。
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by MameBean | 2009-11-18 19:17 | 借りた本─ミステリ