秋期限定栗きんとん事件〈下〉
2009年 09月 16日
米澤氏と私は同郷なので「栗きんとん」と聞いて思い浮かべるお菓子は同じだと思います。おせちに入っている栗の甘露煮のじゃなくて、裏ごしした栗に砂糖を加えて茶巾絞りにしたもの。岐阜の中津川あたりの銘菓で、私も大好物。
本書のタイトルにもある「栗きんとん」はまさにそれで、甘い砂糖の蜜に何度もくぐらせて栗を甘くするマロングラッセとの違いが、小市民になりたくてもなりきれない小鳩くんと小佐内さんのことを上手く表わしているなーと思います。
上巻からの放火事件を通して、いったんは解消された小鳩くんと小佐内さんの互恵関係はぐるっと戻って落ち着いた感じ。しかし小鳩くんにはちょっと変化があったように感じます。小佐内さんは‥‥やっぱり狼ですね。
シリーズとして終盤というか最終章にさしかかってきているような雰囲気を感じました。次の冬季限定で終わっちゃうのかなー、と思うと寂しい。でも高校生活もあと半年ですからね。
それにしても上下巻と読んで思うのは、私はやっぱり堂島くんがいいなーということ。全く裏表がなく、自分の利益・不利益を考えずにまず行動するストレートさ。小市民を目指す小鳩くんからすれば不器用な生き方かもしれないけど、世の中みんな小市民じゃつまらないでしょ。
なあ常悟郎。俺は思うんだが、
お前は結局、小市民じゃないんだよ
by MameBean
| 2009-09-16 18:09
| 借りた本─ミステリ