図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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Story Seller

Story Seller
(新潮文庫)

新潮社


伊坂幸太郎、近藤史恵、米澤穂信など、人気作家7人による夢の競演

『面白いお話、売ります』
と言うだけあって、どれも粒よりな物語。
だってこのメンツなんですから。

■首折り男の周辺 (伊坂幸太郎)
巷では首を折られる殺人事件が続発していた。そんな中、とあるアパートに住む夫婦は、隣人がその犯人の特徴に似ていることに気づく‥‥。
首折り殺人犯の男とその男に間違われた男、隣人が首折り犯だと疑っている夫婦、いじめにあっている中学生。
偶然が幾重にもからみ合って歯車が勝手に回りだす。中編ながらもきちっと描かれる正義感が伊坂氏らしい。

■プロントの中の孤独 (近藤史恵)
スペインより帰国し「チーム・オッジ」に入った赤城。同じ時期にチームに加入した石尾はチームから浮いていた‥‥。
サクリファイスに出てきた自転車のロードレースのチーム・オッジ。石尾と赤城がチームに入ったばかりの頃が描かれ、赤城が石尾のアシストを勤めるようになったいきさつが分かります。

■ストーリー・セラー (有川浩)
妻が、思考した分だけ生命力が削られると言う奇病にかかる。悪化させないためには物を考えてはいけないという‥‥。
ミステリでくるのかと思っていたので、思いがけないラブコメでドギマギしましたが、ラストの夫がたった一人の読者に戻るシーンは静かな涙をさそいます。

■玉野五十鈴の誉れ (米澤穂信)
儚い羊たちの祝宴に収録されているもの。
ラストの一文にゾクリとさせられました。

■333のテッペン(佐藤友哉)
東京タワーのてっぺんで死体が見つかる。殺人なのか?自殺なのか?
この主人公は鏡家の誰かなんでしょうかねー。素人だのなんだのという台詞に最初『?』でしたが、主人公の過去を推察するとそういうことなのかと。


■光の箱(道尾秀介)
童話作家となった圭介は昔同級生の少女と絵本を作っていたが、彼女とはとある事件がきっかけで疎遠になってしまっていた‥‥。
うまくミスリードされました。『ママがサンタにキスをした』を引用するあたり、お見事。
でも嫌な驚きではなくむしろうれしい。

■ここじゃない場所(本多孝好)
女子高生のリナは同級生がテレポーテーションをしたのを見る‥‥。
今回唯一の初読み作家さんでした。
主人公の妄想暴走気味なのが笑えました。でも端から見ると単なる片思いなんですけどね。


米澤氏以外は誰がどんな話を書いているか知らずに読んだので、サクリファイスのアナザーストーリーのようなものが読めてうれしくなったり、久しぶりの有川氏のラブコメに免疫が落ちていて赤面したりと楽しめました。
このアンソロジーは作家陣が読者の側に立って読みたいと思ったストーリーだったり、読者を意識して描かれているように感じました。
ストーリー・セラーに書かれていた台詞に共感。

 『読む側』の俺たちは単純に自分の好きなもんだけが読みたいんだよ。
 (中略)
 ベストセラーでも自分にとってはハズレのこともあるし、その逆もあるし。

『面白い話売ります』という看板に偽りなし。
どれが一番、とか甲乙つけがたいほど、自分が好きなものが詰まったアンソロジーでした。
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by MameBean | 2009-09-02 17:56 | 借りた本─ミステリ