図書館で借りた本の読書記録です 基本的にミステリ好き


by MameBean
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チャイルド44

チャイルド44 上巻・下巻 (新潮文庫)

トム・ロブ スミス / 新潮社


物語の舞台はスターリン政権下のソ連。犯罪は存在しないとされる国家で起きる殺人事件。

冒頭から信じられないような飢えと戦う極限状態。
1933年のウクライナの村での出来事、20年後の少年の事故死、そして次々と犠牲になっていく少年少女。目まぐるしく場面が変わり、これらがどう繋がっていくのか最初は想像できませんでした。

理想社会とされる共産主義国家には犯罪は存在しない。それが建前のソ連で起きた殺人事件。
今まで順風満々な生活を送っていた国家保安省のエリート捜査官・レオの生活が、部下の策略で一夜にして変わってしまう。
善良な市民がある日突然誰かの密告によって非国民として捕らえられてしまう。これがこの国の実状。

そんな国家ではたとえ殺人の疑いがあっても、殺人であってはいけない。もし殺人とするならば、犯人が分かっていなければならない。その犯人は誰でもよかったりする。西側と通じていたとか適当な理由を付けて捕まえてしまえば、もう反論する余地はない。

レオはたくさんの子どもたちが惨殺されているのを知っているのに、一度事故で片付けられてしまった事件は捜査することもできない。そしてレオにも身の危険が迫る。強制収容所送りになったレオと妻のライーサは、犯人を捜す以前にまず生き延びなくてはならない。幾度となく訪れる絶体絶命の危機。そして誰も信じられない状況下で、レオは赤の他人を信用しなくてはならなくなる。また騙されてしまうのか。スリリングでページを捲る手が止まりませんでした。映画化されるわけだわー。

そしてラスト。終盤からうすうすと犯人が分かってしまいました。読み返してみると、符号が全部指し示しているんですよね。でも明らかになった動機には、そんなことのために?と思ってしまった。首に金属片を‥‥とか逃走中の様子が凄まじかっただけに、犯人のおそろしさがかすんでしまったような気も。

でも伏線が張り巡らされていてミステリとしても面白いし、殺人事件を描くことで共産主義の歪みを浮き彫りにしていて、全く知らない世界を垣間みれた面白さもありました。
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by MameBean | 2009-04-21 18:52 | 借りた本─ミステリ